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  • 【市場調査】多機能化より高速化が進むべき道?グループウェアユーザーの不満はレスポンスに集中

  • 2009/03/10 掲載

【市場調査】多機能化より高速化が進むべき道?グループウェアユーザーの不満はレスポンスに集中

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一般的なオフィスワーカーにとって、WordやExcelなどのオフィススイートに次いで身近なアプリケーションと言えば、やはりグループウェアだろう。多機能化、高機能化競争の激しい市場であり、すべての機能を使いこなす企業はないのではないかと思えるほどだ。今回、グループウェアを使用するユーザーにアンケートを行い、機能ごとの利用状況や満足度について答えていただいた。
Webアプリ化が遅れるグループウェア

 グループウェアのシェアについては、Lotus Note/Dominoがトップで31%を占めた。2位以下はサイボウズ Office/がルーンが20%、Microsoft Exchange Server/SharePoint Serverが14%と続く。Lotus Notes/Dominoはグループウェア黎明期から高いシェアを持つ製品だが、現在では2位、3位の激しい追撃を受けている格好だ。利用形態としては46%がクライアント/サーバ型、38%がWebブラウザ経由となっている。企業で使われるシステムのWebアプリケーション化が進んでいるとは言え、グループウェアに関してはいまだクライアント/サーバ型が多く残っているようだ。全従業員に浸透するアプリケーションであり、一度使い慣れると安易に他のシステムに移行できないという状況が強く反映されているのかもしれない。一方で、Webブラウザを使ってアクセスする中にはAjaxなど最新技術を使ったリッチクライアントタイプのものを採用している企業もあるが、やはり少数であり全体の2.5%にとどまっている。

 利用頻度に関しては、半数以上となる55%の方が自席で勤務中常に利用していると答えた。「毎日定期的に利用」、「社内の無線LANで利用」、「社外のモバイル環境で利用」までを含めると、72%の方が1日に1回以上グループウェアを利用していることになる。そこからは、グループウェアが日々の業務に欠かせないものになっていることがうかがえる。


コミュニケーションはメールに集中


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図1:コミュニケーションはメールに集中


 機能ごとの利用頻度を聞いた質問では、メールに関してのみ幅広い支持が寄せられる結果となった。「非常に頻繁に使用」、「頻繁に使用」を合わせると75%にのぼる。「勤務中常に利用」と答えた方の多くは、おそらく最新のメールを確認できるようグループウェアを起動した状態で仕事に取り組んでいるのだろう。

 メールに続いて利用頻度の高い機能は、スケジュールだ。「非常に頻繁に使用」、「頻繁に使用」を合わせて42%となっている。ついで、アドレス帳が同31%、検索機能と施設予約並が同率で同27%、掲示板と文書管理が同26%と続く。ここで注目したいのは、20%以上の方が頻繁に使用すると答えたのがここで挙げた7機能だけだということだ。近年のグループウェアは高機能化競争が激しく、他にも多くの機能を搭載している。しかし実際に使われている機能は多くないという実態が、ここからうかがえる。

 反対に利用頻度の最も低い機能はSNS、Blog、Wiki、在籍確認など。SNSやBlogは半数程度の方が利用可能な環境にあるにも関わらず、70%を超える方が「ほとんど使用しない」「機能はないが今後も不要」と答えた。いずれもプライベートでは使い慣れている機能だと思われるが、ビジネスに活用するイメージは抱かれていないのかもしれない。

 多数の機能を搭載する昨今のグループウェアだが、その多くはコミュニケーションのためのものだ。中でもメールに掲示板、電話メモ、インスタントメッセンジャーはほとんどの方が利用できる状況にあると答えている。しかしこれらの機能を実際に頻繁に利用している方の割合を見てみると、コミュニケーションツールとしてメールのみが頻繁に利用される傾向となっている。メールがいち早くビジネスツールとして浸透したために、ビジネスにおけるコミュニケーションはメールのみに依存する傾向にあるのかもしれない。本来、保存する必要のないちょっとした伝言は電話メモ、リアルタイム性の求められるものはインスタントメッセンジャーと使い分けることを想定して機能を盛り込んであるはずだが、そうしたグループウェアベンダや情報システム部門の思惑とユーザーの利用傾向は一致していないらしい。


機能面より使い勝手を重視するユーザーが多い

 グループウェアを利用するに当たってユーザーが不満と感じているポイントを問う質問では、ほとんどの点について半数以上の方が「問題ない」もしくは「良い」と答えている。日々使うツールであり、使いなれという観点からも時間とともに不満が消えていく傾向もあるのかもしれない。ただ、その中にも大きな傾向は見て取れる。


※クリックで拡大
図2:機能面より使い勝手を重視するユーザーが多い


 最も多くの方が不満だと答えたのは、レスポンスが遅いこと。36%の方が「非常に不満」もしくは「不満」と答えている。続いて欲しい情報を見つけにくい(同33%)、マニュアルがわかりにくい(同29%)と続く。この上位3項目に共通するのは、使用上のストレスに直結する項目だということだ。類似の項目としては使い方がわかりにくいことも、同27%で6位に挙がっている。日々の業務に不可欠なツールであるだけに、ストレスなく使いたいという希望が強く表れている。一方でベンダが強くアピールする機能面についてはどうかというと、容量などの制限が多いという項目が同28%で4位、機能が足りないという項目が同26%で7位、操作が煩雑であるという項目が同22%で10位となっている。

 こうした傾向から感じられるのは、色々なことができるツールよりもストレスなく使えるツールを求めているユーザーの方が多いということだ。これまで高機能化、多機能化がグループウェア開発の焦点となっていたが、多くのユーザーは機能はすでに十分、もしくはそこまで多くの機能を使い分ける必要はないと考えているのだろう。それよりも、常に起動しておき必要なときにすぐ使えるように、レスポンスよく動作することの方が重視されている。


情報格差の解消、コミュニケーション手段の適切な選択が課題

 業務にグループウェアを取り入れることで得られるメリット、デメリットについても質問した。こちらはフリーワード形式なので細かい数字は出しづらいが、それでもはっきりした傾向が見て取れたので紹介したい。

 グループウェア導入の最大の目的は、コミュニケーションの円滑化と情報共有にある。これは情報システムに詳しい方でなくてもご存じのはずだ。そして実際に、これに類する内容をメリットとして答えた方が最も多かった。特に多かったのが、メンバーとスケジュールを共有できることにメリットを感じているという答だった。その他にも仕事上の資料、アドレスなども共有できてメリットが生じる情報として挙げられている。大容量のファイルを共有するシーンも増えているため、メールの同報ではなく文書共有機能を使って資料を共有することが一般化しつつあるようだ。

 並んで目立ったのは、ワークフローに関するコメントだ。グループウェアの導入により経費精算などの伝票処理が楽になったと答えた方が多かったのだ。面白いのは、先に紹介した利用頻度の質問において、ワークフローが上位に挙げられていなかったということ。利用頻度は少ないが、なくてはならない機能として浸透しているということなのだろう。

 対してデメリットの方はというと、先ほどの不満と同様にレスポンスに関するコメントが多かった。グループウェアのレスポンスが遅いために業務が滞る、大した業務でもないのに時間がかかってしまうなど、レスポンスが遅いためにユーザーが感じるストレスの大きさがここでも感じられる。

 そのレスポンスと並ぶほどに多かったのが、社内の情報格差に関するコメントだ。グループウェアが社内に浸透すれば、当然情報共有はグループウェアに集中していく。その結果、PCリテラシーの格差がそのまま情報量の格差になってしまうことがデメリットとして指摘されている。最も、これは常に指摘され続けてきたことであり、社内研修なども必要だろう。

 コミュニケーションをメールに頼りすぎ、直接のコミュニケーションが不足するというものも多く見られた。なんでもメールで済ませようとし、不要なメールが多くなっているという指摘もある。メールへの依存度を見直し、グループウェアの他のコミュニケーションツールや直接の会話も含め、必要に応じてコミュニケーション手段を選択していくことも、これからは求められるかもしれない。

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