- 2007/12/18 掲載
「IT社会における訴訟支援」デジタル・フォレンジック・コミュニティ 2007閉幕
デジタル・フォレンジック研究会会長辻井重男氏は、開会挨拶で、「日本で、情報漏えいに対する関心が高まってきた。SNSなど新しい統合化されたネットワークの広がりに対応し、古典論理ではなく直感主義論理での研究も進められるべき」と呼びかけた。
情報セキュリティ大学院大学副学長林絋一郎氏は、「情報法体系におけるフォレンジックの位置づけ」と題し基調講演を行った。有体物の法や情報法、実体法と手続法、個人情報の概念を説明した後に、「有体物の法では、フォレンジックは証拠を示すための手続的側面が強かったが、完全にデジタル情報に依存した情報法では、実体法と手続法を包含して、フォレンジックが全てとなるかもしれない。今後は、フォレンジックは、実体そのものを証明する手段、デジタル取引全体を通底する技術と認識されるだろう」と持論を展開した。
警察庁の生活安全局情報技術犯罪対策課 課長補佐渡邊晃氏は、「サイバー犯罪の現状と捜査の問題点」と題し実情を語った。サイバー犯罪の傾向として、組織化、経済的利益の追求が挙げられるという。目撃者がいないこと、データが発見できないと追跡不可能なことがサイバー犯罪の特徴だと語った。そのうえで、「ネットカフェでの本人確認の強化など犯罪を犯しにくい環境の構築が大切」と話した。
企業にとって死活問題となる技術情報漏えいについても報告が行われた。経済ジャーナリストの岸宣仁氏は、『「デジタル匠」の時代のデンソー事件』と題し、「日本の金型産業ではデジタル化が進んでおり、3次元CAD図面データの作製が職人の仕事となっている。今や、ある企業では、熟練した匠の技が必要な部分は、全体工程の10%にすぎないほどだ。」と変わりゆく金型産業について説明した。また、デンソーの電子データ流出事件については、13万件の大量データが一人の人間に取得されたこととその経緯を詳述した。
「企業からの情報漏えいに備える」と題した座談会形式の研究会では、7人のパネリストがそれぞれ、学術的見地と、ベンダー側の立場から意見を述べた。Forensic 技術説明会では、退職者や在職者による情報漏えい、在職者による不正取引への関与が行われた実例を示し、どのようにフォレンジック技術が適用されたのかを紹介した。
お知らせ:初日の講演内容については、後日、動画を編集して掲載します。
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