- 2006/10/27 掲載
NTTコム、異種ネットワークでも全国規模で統一可能な通信制御技術を開発
NTTコミュニケーションズは、多様なサービスを円滑に利用するための通信制御技術を開発している。これは、独立行政法人情報通信研究機構(以下、NICT)の委託研究「異種ネットワーク相互接続環境下における最適情報通信サービス実現のための制御技術の研究開発」の一環によるもの。その中で、「ICT未来フェスタ in にいがた」にて、利用者に応じアプリケーションを変更することなく通信品質を動的に制御する技術の実証実験を行い、その有用性を確認した。
近年、ICT(情報通信技術)の進歩により、全国各地の公共ネットワークはブロードバンド化を始めとした拡張・整備が急速に進められている。しかし、これらの公共ネットワークはそれぞれ異なったポリシー(接続条件)に基づいて構築されており、相互に接続する仕組みが未整備なため、全国規模で統一したサービスを提供するまでには至ってない。この研究開発では、国や自治体を相互に接続した環境において、全国規模の公共サービスを効果的に相互提供・利用するための通信制御技術を開発している。
今回検証された具体的な開発技術は、複数レイヤにまたがった環境情報に基づく自動制御技術である。
全国規模の公共サービス(例、災害情報の共有)を構成する各地域のサービスを連携させる際、アプリケーションレイヤの情報であるSOAPメッセージ中に含まれるIDや付加情報を読み取り、誰が(ID所有者の権限)、どこから(所在地)、どのような環境で(通信速度や端末の種類、被災状況などの環境情報)通信を行っているかを動的に判別。IPアドレスなどネットワークレイヤの情報と組み合わせることによって、「特定ネットワークからアクセスした端末への情報は圧縮して送る」「どこからアクセスしているのかとは無関係に特定のユーザからの通信を優先する」など、通信を制御することができる。
従来は同一レイヤに閉じた制御が一般的だったが、この技術ではそれらを相互に連携させ、複数レイヤの情報に基づいて、複数レイヤにまたがった制御を行うことができる。
この技術をネットワーク・プラットフォームの基盤機能として利用することにより、すでに使われているアプリケーションに手を加えることなく、公共サービスにおける通信の最適制御が実現できる。
今回開発した技術の検証を行うため、消防庁と新潟県、新潟県下の複数の市を、県の情報ハイウェイなどの地域公共ネットワークやJGN IIを介して相互接続した実証実験環境を構築した。
この環境下で、災害時に被災状況を映像や地図を活用して共有する防災アプリケーションを使い、被災状況や利用者権限などの環境情報に基づき、防災、復旧にあたる担当者からの通信に対して広帯域を割り当てる一方、非優先的利用者からの通信に対してアプリケーションとは独立して情報の品質を変える(使い勝手はそのままで画像の質を落とす)など、複数レイヤにまたがった優先制御を行う実証実験に成功した。
NTTコミュニケーションズは、この研究開発で得た成果を関連団体に報告し、公共ネットワークの相互接続に向けた標準化を進め、全国規模で統一した高付加価値サービスを実現できるよう、引き続き研究開発を進めていく。
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