同じように、顧客志向の一貫として購買プロセスを見た場合、そこにおける非効率性が浮かび上がってくる可能性が高い。しかし、購買プロセスにおける非効率については、過去のマーケティング研究においてほとんど議論されていない。ジェームズ・P.ウォーマック(以下:ウォーマック)とダニエル・T.ジョーンズ(以下:ジョーンズ)は、顧客の購買プロセスから非効率な部分が排除された消費を「リーン消費」と呼んでいる(Womack and Jones 2005)。
購入対象となっている製品によっても、リーン消費への期待は大きく異なるはずである。日常反応的問題解決が期待される成熟段階の製品、限定的問題解決が期待される成長段階の製品では、購買プロセスにベネフィットが見いだされることは少なく、リーン消費への期待は大きいだろう。逆に、包括的問題解決が期待される導入段階の製品では、購買プロセスの一部分に娯楽的要素が加わりやすいので、リーン消費への期待はそれほど高くはないかもしれない(Howard and Sheth 1969)。