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『DX促進のための認定制度』がスタートしてから1年あまり。2021年6月時点で116社の認定が進んでいる。「認定制度はわかりやすいゴールとなり得るが、認定制度が企業にもたらすメリットは他にもある」と東洋大学経営学部経営学科の学科長である野中 誠教授は指摘する。DX推進指標による自己診断を企業全体のDXを考えるきっかけと位置づけているのだ。自己診断の活用のポイントとその可能性について考察していこう。

「DX促進のための認定制度」が作られた狙いとは?

 『DX促進のための認定制度』とは、2020年5月に施行された「情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律」に基づいた制度である。国が設定した基準をクリアするDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みを行っている企業に対して、申請に基づいて認定する仕組みだ。下の図は経済産業省の「第2回 Society5.0時代のデジタル・ガバナンス検討会」資料に基づいて制作された講演資料によるものである。

画像
「DX促進のための認定制度」の位置づけ

 この図によると、認定された企業よりもさらに上のランクの企業が存在しており、ピラミッド構造になっていることがわかる。しかし「頂点を目指すことを促すのが認定制度の主要な目的ではない」と東洋大学経営学部経営学科の学科長である野中 誠教授は説明する。

画像
東洋大学
経営学部経営学科 学科長
野中 誠教授

「DXの認定事業者の上にDX注目企業選定、DX-Excellent企業選定があって、段階を経て上がっていくわけです。しかし認定制度はすそ野を広げていくものといってよいでしょう。認定事業者のところに“DX-Ready”という言葉があります。つまりDXに取り組む準備ができていることを認定するという意味合いが強いのです」(野中氏)

 野中教授は「小手先のDXの推進ではなくて、全社的な取り組みを行うことが重要である」と強調している。では具体的に、どのようにしてDXの取り組みを進めていけばよいのか。
この記事の続き >>
・デジタルガバナンスの観点から捉えた企業全体のDX推進
・DX推進指標の「自己診断」の効果的な活用方法とは?
・DX推進の自己診断の先にある「バリューチェーン変革」

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