AI/生成AIの進化が目覚ましい。当初は人間のように会話ができるチャットボットが注目を浴びたが、現在ではその適用範囲は大きく拡大し、医療や製造、物流など、さまざまな業界向けのAIソリューションも登場して、いよいよ本格的な拡大期、普及期を迎えつつあるように見える。

　ただし、こうした動きになかなか追随できていないのが中小企業だ。多くの中小企業のIT化を支援してきた大塚商会 MMプロモーション部 AI・データ活用推進課 主任 木村 直貴 氏は、その現状を次のように説明する。


「多くの中小企業の皆さまが、生成AIは素晴らしいと思っているのは確かです。ただし、自分たちの日々の業務でどう生かせばよいのか、もしくは自分たちの規模の企業、業種・業態の企業でどうやって活用すればよいのか、具体的なイメージが湧かないというお客さまが非常に多いと感じます」（木村氏）

　また、中小企業にとっては、生成AIのセキュリティや誤った情報を回答するハルシネーションへの不安も大きいと、大塚商会 マーケティング本部 業種SIプロモーショングループ DX統合ソリューション2課 片野 明衣 氏は、次のように述べる。


「無料で提供されている生成AIサービスでは、入力したプロンプトが生成AIのモデル学習に使用される可能性があるため、社員がこういったサービスを勝手に使ったら、機密情報が漏えいしてしまうリスクがあります。また、ハルシネーション（AIが誤った情報や事実とは異なる情報を生成する現象）についても『ではどうしたらよいのか』は分からないため、対策のしようがないのが中小企業の実態です」（片野氏）

　さらに、多くの中小企業の現場は、いまだに紙の書類が多いのも事実だ。このため、生成AIでデータを分析・活用したくても、肝心のデータが十分に揃っていない企業が多い。

　こうした状況を打開し、中小企業がそれぞれの業務の中で生成AIを安全に活用し、業務を効率化したり、データを分析したりするには、どのような取り組みが求められるのだろうか。

　中小企業が生成AIを活用する際に、まず取り組みたいのがデータの整備だ。特に紙のデータ、たとえば経理・購買関連の請求書や納品書などの定型書類、領収書や注文書、指示書などの非定型な書類、さらには社内で利用する申込書や規定、マニュアルなどをデジタル化することは、その第一歩となるだろう。

　そして、紙の書類をデジタル化する際に活用したいのが、紙の書類をスキャナで読み取ってデジタル化するOCRである。ただし、従来のOCRには課題が多かったと、片野氏は次のように説明する。

「従来は、読み取る書類の位置を座標で正確に定義する必要があり、手間がかかっていました。このため、イレギュラーな書類には対応できず、迅速かつ臨機応変な対応が求められる中小企業のお客さまにとって、なかなか業務に合わないという実態があったのです」（片野氏）

　ただし、AIの進化によって、現在ではこうした問題点を解消したソリューションが登場している。それが「DXOCR」だ。片野氏は、その特徴を次のように説明する。

「DXOCRは、定型だけでなく非定型の帳票にも対応したOCRソリューションです。AI技術を利用することで、従来のように座標を定義することなく、見積書、請求書、勤務表などあらゆる書類を読み取れます。さらに、CSVへの出力、マスターデータベースとの連携機能も用意されています」（片野氏）

　DXOCRを活用すれば社内の紙データをデジタル化できるようになるが、それと並行して重要なのが、デジタル化したデータを“ためる”ことだ。そこで活躍するのが、大塚商会が提供する中小企業向けの基幹業務パッケージ「DX統合パッケージ」である。


「バックオフィスが担う基幹業務に加え、セールスマネジメント機能による営業現場のノウハウ蓄積で、全社でご利用いただきやすいシステムとなっています。さらに、ワークフローやドキュメント管理といった業務に付随する情報の共有・保管まで、一気通貫で提供しているのが特徴です」（片野氏）


　なお、「DX統合パッケージ」は必要なところから導入できる。企業の実情に合わせて販売や会計などの必要なモジュールから導入し、徐々に拡大していくことが可能だ。

　「DXOCR」による紙書類のデータ化、「DX統合パッケージ」によるデータの蓄積が進めば、生成AIによるデータ分析・活用が見えてくる。たとえば、在庫分析や売上分析、文書作成を初めとするさまざまな業務の効率化などが可能になる。

　ただし、冒頭で述べたように、セキュリティやハルシネーションへの配慮は欠かせない。そこで活用したいのが、大塚商会が提供する「ChaChatアシスト powered by GPT-4」（以下、ChaChatアシスト）である。木村氏は、その特徴を次のように説明する。


「ChaChatアシストは、今注目の生成AIであるOpenAIのChatGPTを、安全かつ定額・低価格で利用できる法人向けサービスです。定額のため、利用量に応じた従量料金は発生しません。社内規定やマニュアルなどをアップロードすれば、それについて自然文で質問すると、回答を得ることができます」（木村氏）

　もちろん、入力したプロンプトが学習に使用されることはない。また、誰がどんなプロンプトを入力したか、どんな使い方をしたかが分かる管理画面も用意されている。このため、従業員の利用頻度の差を把握することも可能だ。

「生成AIを導入する際には、一部の従業員だけが活用して、他の従業員はあまり使わないという機会損失も起きがちです。しかし、ChaChatアシストを使えば、たとえば上手に活用している社員のプロンプトをテンプレート化するなど、組織全体でノウハウを共有して機会損失を防ぐことも可能です。また、正しいプロンプトの入力方法などの基本的なノウハウや、生成AI活用におけるセキュリティガイドラインの策定支援まで、我々からご提供することも可能です」（木村氏）

　なお、ChaChatアシストは、年額24万円（100名以下）からと、初めて生成AIにチャレンジする中小企業にとってはかなり魅力的な価格設定となっている。提供される機能によって少し金額は変動するので、詳細は大塚商会にお問い合わせいただきたい。

　「DXOCR」「DX統合パッケージ」「ChaChatアシスト」は、それぞれすでに多くの企業が導入・活用を始めている。

「たとえば、あるお客さまは、2024年の夏ごろにDX統合パッケージを導入いただきました。それから数カ月が経過してデータがかなりたまってきたので、生成AIにチャレンジされようとしています。現在は、生成AIでデータを活用する仕組みを検討されているところです」（片野氏）

　片野氏によれば、「DXOCR」「DX統合パッケージ」「ChaChatアシスト」のいずれかを導入した企業が、その成果を確認した上で、他のソリューションを検討するケースが増えているという。こうした企業の安心感につながっているのが、大塚商会ならではの“強み”だ。

「弊社は営業とシステムエンジニアが非常に多いのが特徴です。各製品に強いメンバーが各地域に配置されていますので、地域に根ざしたきめ細やかな提案ができるのが強みです。さらに、この3つのソリューションだけでなく、関連するさまざまなソリューションを豊富に取りそろえて、それらを“まるごと”まとめてご提案、ご支援できるのも、お客さまの安心感につながっているようです」（木村氏）

　生成AIが大きな注目を浴びていることもあり、AIソリューションの導入・支援に強いベンダーは増えている。しかし、AI以外のシステムについて詳しくないケースは、けっして珍しくない。

　しかし、大塚商会ならこうした心配は不要だ。AIだけではなくて、従来からある基幹システムやその周辺システムを含めて、“まるごと”任せられる。中小企業にとって、その安心感は計り知れない。「生成AIに興味はあるけれど活用イメージが湧かない……」という中小企業は、ぜひ同社にご相談いただきたい。