- 2022/06/11 掲載
政策保有株の売却加速=採算性重視に転換も―大手銀、新目標相次ぐ
大手銀行グループが、取引先企業と株式を相互保有する持ち合い株などの「政策保有株式」の売却を加速させている。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は5月、売却額を5000億円に拡大する目標を公表した。みずほフィナンシャルグループ(FG)とりそなホールディングス(HD)は、採算性改善に向けた出資などに資金を振り向ける。
政策保有株は企業との関係性維持という営業上の意味合いが強かった。しかし、議決権の不行使など企業統治の観点から批判も多く、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の改訂などを通じて売却を促されていた。
MUFGは2021年度から23年度までに3000億円以上の政策保有株を減らす目標だったが、順調な進捗(しんちょく)状況を踏まえ、5000億円に引き上げた。みずほFGは21年度までに3000億円売却との目標を達成。23年度までに1500億円を追加売却する。今後は、より高い資本効率が期待できる劣後ローン供与や出資などを通じてリスクを共有することで、取引先との新たな関係強化を図るという。
りそなHDは、削減ペースを従来の2倍に加速する新計画を5月に公表。イノベーション創出に向けたベンチャー企業への出資などに注力する。東京証券取引所の市場再編で上場企業各社の流通株比率の向上が求められる中、三井住友トラスト・ホールディングスは21年に政策保有株は原則保有しないとの方針に転換している。
政策保有株をめぐっては、株主への利益還元を求める投資家が削減を強く求めているが、歴史的に関係の深い取引先企業の株売却には困難も伴う。みずほFGの木原正裕社長は「ここから先は丁寧な(企業との)コミュニケーションが必要になる」と話している。
【時事通信社】
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