- 2021/12/07 掲載
トヨタ、性能に支障ない「傷アリ」部品採用 仕入先の効率・収益改善
トヨタが部品に求める品質は高く、検査も厳しいことで知られる。仕入先は部品の機能になんら支障や害がなくても、トヨタの厳格な検査を恐れるあまり、虫眼鏡を使って丁寧に検査したり、わずかな傷や汚れでも不良品とみなして廃却したりしている場合が多く、これまで生産効率や収益性を損じていた。
トヨタは2017年末から仕入先と過剰な品質と性能を適正化する活動を開始。19年からは仕入先各社にトヨタ社員を送り込んで現場の悩みを直接聞き、仕入先と過剰になり過ぎない品質水準の合意形成に取り組んでいる。
同社クルマ開発センターの志賀武文チーフ・プロジェクト・リーダーはこの日のオンライン説明会で「思ったより車(の価格や性能)が高くなってきているというのが活動の発端」と説明。基準を緩和するのは「非常に勇気がいる」としつつ、仕入先の声も聴きながら、「外観は大事にするが、お客様があまり気にされない部位はもう少しグレード、見え方、シビアさを減らしてもいいのではないかという動きを広げている」と話した。
例えば、3列目のシート格納時の固定用フックを手掛ける5次仕入先は、消費者にはまったく見えないフックの裏側でも傷などがあると全て廃却しており、不良品は毎週約5000個にもなっていた。トヨタが品質基準であいまいな表現の指示を出していたことも背景の一因で、適正化活動後はフックの不良率がこれまでの4分の1に減った。
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