- 2021/11/17 掲載
アジア高利回り債運用担当者、早くも年内様子見ムード 市場混乱で
アジアの高利回りジャンク債市場は、中国の不動産大手、中国恒大集団の債務危機が波及し、過去2カ月にわたり混乱が続いてきた。中国不動産業者が期日通りに元利金を払うかが焦点となる中、社債価格が急落し、投資リターンが低迷、企業が新たな社債を発行することが困難になっている。
モーニングスターによると、43件の高利回り債の年初からの投資収益率はマイナス15.8%となっている。前年の同じ期間ではプラス1.14%のリターンだった。
香港にある銀行の債務資本市場担当者は「高利回り債は不調が続いており、今損失を出せば通年の運用成績に影響すると誰もが承知している」とし、「運用担当者は通常、米感謝祭の後に帳簿を締めるが、今年は既に始まっている」と述べた。
11月にアジアで実施された高利回り社債による資金調達案件は、インドネシアの石油ガス会社メドコ・ローレル・ツリーによる3億9400万ドルの調達のみだった。9月と10月に総額57億ドル(ディアロジック調べ)の調達案件があったのとは対照的だ。
ディアロジックのデータによると、年内に39億ドル相当の高利回り社債が満期を迎える見通し。
アバディーンのアジア太平洋地域社債担当責任者、ポール・ルカスゼウスキ氏は「市場のボラティリティーが原因で社債発行が下火になるのはよくあることだ。投資家の需要が弱く、借り入れコストが高いため、発行主体は差し迫って起債する理由がなければ、状況が改善するのを待ちたいと考えるだろう」と説明した。
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