- 2021/02/11 掲載
マイナス金利、危機時に強化=機動性確保へ方針明確化―3月の政策点検で日銀
日銀が3月に行う金融政策の「点検」で、現在のマイナス金利政策を維持し、必要に応じて一段の利下げも辞さない方針の明確化を検討することが10日、分かった。新たな金融危機や急激な円高進行など、追加緩和が必要になる事態に備え政策の機動性を確保する。
日銀は現在、大規模緩和の一環として、金融機関が日銀に預け入れる当座預金の一部にマイナス0.1%の金利を適用している。日銀に資金を預けると不利な状況をつくり出すことで銀行に活発な投融資を促し、経済の活性化につなげるのが狙い。
マイナス金利に対しては、金融機関の収益悪化など「副作用」への懸念から、金融市場ではさらなる引き下げに懐疑的な見方が根強い。このため日銀は追加緩和の「次の一手」として利下げの可能性を改めて強調し、政策の手詰まり感を払拭(ふっしょく)する。
一方、貸出金利の低下などで地方銀行を中心に収益悪化も目立つことから、金融機関向けの副作用軽減策の強化も視野に入れている。
日銀は新型コロナウイルス感染拡大前の景気回復について、マイナス金利を含めた現在の緩和策が効果を発揮したと分析している。ただ、2016年にマイナス金利政策を導入した際は唐突な決定に市場が不安定化し、批判を招いた経緯がある。このため、事前にマイナス金利強化があり得ることを表明することで、政策運営の不透明感を軽減して市場に配慮しつつ、政策の機動性を確保するべきだとの意見が強まっている。
政策点検ではこのほか、上場投資信託(ETF)など金融資産の買い入れにめりはりをつけるといった柔軟化策を検討。また、現在プラスマイナス0.2%程度としている長期金利操作の変動幅拡大も議論する。
【時事通信社】
PR
PR
PR