- 2021/02/10 掲載
旧態依然の日本社会象徴=森会長による女性蔑視発言―白井慶大教授インタビュー
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長による女性蔑視発言について、慶大総合政策学部の白井さゆり教授は9日、時事通信の電話インタビューに応じた。白井氏は「女性を蔑視し、日本社会の旧態依然とした部分を象徴している」と厳しく批判。国や企業の成長には「多様性が不可欠だ」として、女性も活躍できる社会に向けて人材育成と働き方改革を訴えた。
白井氏は「女性がまじめに議論することを面倒くさいと思っていることの表れだ」と指摘。「なあなあで、発言しないことがよしとされてきた」男性中心の組織風土が背景にあると分析した。
森会長の進退に関しては、「五輪が開催できるかどうかという中で、輪を掛けて問題を難しくした。世界の中の日本を考え、本人が考えることだ」と述べた。組織委やスポンサー企業に対しては、「ジェンダー問題をどう改善していくか、具体的なメッセージを発してほしい」と要望した。
一方、企業統治改革として、取締役会の多様化の観点から女性登用を求める海外投資家は少なくない。白井氏は、対応しない企業は「いずれ顧客も投資も失うことになる」と警告。仕事と家庭を両立できる柔軟な働き方や女性の経営幹部育成が必要と述べた。
白井氏は2011年から5年間、金融政策決定に携わる日銀審議委員を務めた。自身も「女性だから得をしている」と男性から言われてきたといい、「女性の努力を見ず、相手を傷つけていることに気付いていないのが問題だ」と話した。
【時事通信社】 〔写真説明〕白井さゆり
慶大総合政策学部教授(本人提供)
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