- 2020/11/07 掲載
官庁・学校は1%未満=IT人材、偏り著しく―経財白書
政府が6日公表した2020年度の年次経済財政報告(経済財政白書)は、新型コロナウイルス感染拡大であらわになった日本のデジタル化の遅れの分析に力を入れた。この中で「IT人材」と呼ばれる専門知識を持つ人のうち、官公庁や学校など公的部門で働くのは全体の1%未満にすぎないと指摘。IT人材の不足や著しい偏りがもたらす問題点を浮き彫りにしている。
白書によると、日本ではシステム設計者らの7割が情報処理・サービス業などIT産業に従事する。一方、欧米主要国でこの比率は5割以下で、IT人材が卸売・小売業や金融・保険業など幅広い業種に分散しているのが特徴だ。例えば米国やドイツでは60%以上が非IT産業で活躍している。
中でも、官公庁や学校など公的部門の従事者は日本では1%未満にとどまり、1割以上を占める米国と比べて差が大きい。人材がIT産業に集中すると、システム開発を発注する側に十分な知識を持ったスタッフがそろわず、効率的な投資ができなくなる弊害が生じるという。
実際、デジタル化の遅れがコロナ禍では給付金の支給遅延など大きな混乱を招いた。菅政権にとって行政のIT化は待ったなしの課題だ。
民間部門でもIT投資は不足している。17年の民間のソフトウエア投資額は1995年の2.4倍に増加したが、米国は5.1倍、ドイツは3.3倍に上る。官民を挙げてデジタル化を加速しなければ、日本は効率化や生産性の向上で諸外国に大きく後れを取る恐れがある。
【時事通信社】
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