- 2020/11/07 掲載
経済対策に停滞懸念=FRBへ追加緩和の重圧―米大統領選
【ワシントン時事】米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)に追加金融緩和の重圧がかかっている。新型コロナウイルスの感染再拡大で景気下振れリスクが高まる一方、大統領選をめぐる混乱が長引き、経済対策の早期実現が見通せないためだ。FRBは12月にも対応を迫られる可能性がある。
「いくらかの財政支援があれば景気回復はより強くなる」。パウエル議長は5日、事実上のゼロ金利政策と量的緩和策の維持を決めた金融政策会合後の記者会見で、政府と議会に対し、財政出動による追加経済対策の必要性を訴えた。
FRBは、夏以降に雇用や消費の改善ペースが鈍る中、家計や企業への支援が必要と繰り返し発信。しかし訴えは、大統領選を意識した与野党の政治的駆け引きにかき消された。
米国では1日当たりの新規感染者が10万人を突破。FRBが景気回復を阻む要因として挙げる追加策の遅れと、感染再拡大という二つのリスクが現実化した形だ。
トランプ大統領は、再選が決まれば「最高の経済対策を実現する」と述べ、野党民主党と大型支援の交渉を再開すると明言していた。だが大統領選では、民主党候補のバイデン前副大統領が選挙人の過半数獲得に迫る。トランプ氏は法廷闘争での決着も辞さない姿勢で、結果確定が長引けば政策が停滞しかねない。
バイデン氏が勝利しても、与党共和党は議会上院の過半数を保つ見通しが強まっている。政権と議会の「ねじれ」が起きれば「大型支援策は実現しない可能性が高い」(米投資銀行ジェフリーズ)とみられる。
パウエル議長は会見で「政策手段の出尽くし」を否定し、ゼロ金利でも追加緩和はできると明言。会合で米国債などを購入して巨額資金を市中に供給する量的緩和策を話し合ったと説明した。景気浮揚で「FRB頼み」が強まれば、12月の次回政策会合での追加緩和観測が浮上しそうだ。
【時事通信社】 〔写真説明〕米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長=9月23日、ワシントン(AFP時事)
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