- 2020/10/19 掲載
一部先進国、コロナ起因の財政悪化で格下げ方向に見直しも=S&P
同氏は、コロナ禍に対応した医療制度や企業・労働者の支援策の莫大なコストが一部の国々の財政を根本から悪化させていると指摘。コロナに起因する格付け見直しの第2波を予告した。
S&Pは年初から既に60近い国について格下げや格付け見通しの引き下げを行っているが、高格付けの先進国はわずかしか含まれていない。しかし、一部の国々では公的債務の対国内総生産(GDP)比率が15─20ポイント急増と、通常ならば4─5年を要するスピードで悪化しているほか、今後3─5年も歳出が増え続ける見込みとなっており、先進国が蚊帳の外という状況が近く変わりそうだ。
シフォンアレバロ氏は、「自国を守るために非常に大規模な財政・金融政策を実施してきた欧州連合(EU)、日本や英国などの高度先進国、または米国が問題になっている」とし、「注目すべきは今後想定される財政の軌道で、異なる構造的パターンを確立する軌道が想定されるのならば、格付けで何らかの動きがあるだろう」とした。
S&Pのソブリン格付け対象のうち4分の1近くに相当する31カ国が格付け見通しが「ネガティブ」になっている。これにはオーストラリア(AAA格付け)、イタリアとメキシコ(BBB)、スペイン(A)が含まれる。ネガティブ見通しの国が広がるのと同時に、先進国の多くでコロナ感染が再び拡大していることは懸念材料だ。
同氏は「当社の見直しが進行中で、今後数カ月続く見通し」とし、当初は格付け見通しが変更されるとみられ、一部の国は数年で「安定的」な見通しに回帰するかもしれないが、そうでなければ格付けが引き下げられることになると語った。
また、先進国以外に、中南米のメキシコ、ブラジル、コロンビアの3カ国、サハラ以南のアフリカのザンビアなどの最貧国という2つのグループについて財政を巡る懸念が大きいとした。
関連コンテンツ
PR
PR
PR