- 2020/10/14 掲載
世界の金融システムは「当面」安定、脆弱性増している=IMF
報告書を執筆したIMF金融資本市場局のトビアス・エイドリアン局長とファビオ・ナタルッチ副局長は13日の記者会見で、コロナ危機はまだ終わっていないが、世界の金融システムは一段の打撃に耐えられる資本をまだ持っているとの見解を示した。
エイドリアン氏は、グローバルに展開するシステム上重要な銀行はそうでない銀行よりも「おおむね安定している」とし、欧州の銀行は北米の銀行よりも「やや脆弱」と分析した。
IMFは、リセッションが続く場合に一部の銀行システムは資本不足に陥る可能性があり、民間セクターと公的セクターの双方での債務負担の増加が将来的に金融市場の問題となる可能性があると指摘。
新型コロナの世界的流行(パンデミック)がいつ収まるか分からない現状では、政策立案者は広範な支援を提供し続け、パンデミックの完全な収束を待って徐々に支援を終了する姿勢でいる必要があるとした。
IMFは報告書で「経済活動が再開される中、回復を定着させ持続可能にするには緩和的政策が不可欠になる」と指摘。
「多くの国々が、資産管理や非金融事業など一部セクターの脆弱性が高まっている状態で今回の危機に直面しており、脆弱性は高まりつつある」とした。
IMFはまた、ノンバンクは銀行と同等に厳格な資本・流動性要件を求められていないため、金融システムでノンバンクの役割が増していることは新たなリスクをもたらすと指摘。また、ノンバンクの問題が波及する可能性があるとして、ノンバンクと従来型の銀行とのつながりが強まっていることにも警鐘を鳴らした。
すでに高水準の債務を抱えている企業については、リセッションが長引けば支払い能力の問題が生じる恐れがあるとした。
IMFは、各国の政策立案者はパンデミックが収束した後に、銀行の資本バッファー再構築とノンバンク向けのルール厳格化に取り組むべきと指摘。
エイドリアン氏とナタルッチ氏は会見で、低金利やマイナス金利が長期にわたる場合に金融機関が過剰なリスクを負うなど、緊急政策措置の「意図しない結果」に規制当局は留意する必要があると語った。
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