- 2020/10/09 掲載
ECB、コロナ禍で「自由裁量」の維持を討議=9月議事要旨
ECBは9月9─10日に開いた理事会で、政策据え置きを決定。議事要旨によると、ユーロ高から新型ウイルス感染の再拡大や米大統領選に至るまで広範なリスクが列挙され、多大な懸念が示されていた。
議事要旨は「不確実性が高い環境下で、金融政策をしっかりと保つことが最も適切との見解が示された」とし、「同時に、不確実性が高いことを踏まえた『自由裁量』の維持についての言及もあり、ユーロ相場を含む全ての入手可能な情報を慎重に検証し、必要に応じて適切な政策措置をとる柔軟性を維持することの必要性が示された」とした。
ラガルド総裁は理事会後の記者会見で、コロナ感染の第2波が「逆風」となるものの、経済活動は力強く持ち直しているとし、経済に対しそれほど大きな懸念は示さなかった。
ただ議事要旨は「パンデミック(世界的な大流行)の基調的な動向、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る交渉の推移、米大統領選の結果、ユーロ圏全体および加盟各国の財政政策を巡る決定を慎重に監視するする必要がある」としており、ECBが理事会直後に発したメッセージよりも大きな懸念が示されていたことが示唆された。
ECBは同理事会で、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の買い取り枠を1兆3500億ユーロに維持すると決定。買い入れ期間は少なくとも来年6月末までとし、2022年末までの再投資継続を確認した。
これについて議事要旨は、一部当局者から市場が比較的安定していることを踏まえ、買い入れ規模の縮小が提案されたが、期限までに買い入れ枠が全て利用される公算が大きいとの見解も示されたとしている。
INGのエコノミスト、カーステン・ブレゼスキ氏は「インフレの道筋とユーロ相場について、ECBが市場予想よりも大きく懸念していたことが示された」と指摘。ノルデアのエコノミスト、ヤン・フォン・ゲリッチ氏は「不確実性がキーワードだった。今回の議事要旨で23回の言及があった」とし、「過去に追加刺激策を計画していることが示唆された際、こうした文言が使われた。今回も同様だと考えている」と述べた。
エコノミストの間では、12月の理事会でPEPPの拡充が決定されるとの見方が出ている。
*内容を追加しました。
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