- 2020/10/09 掲載
景気判断、四国除く8地域で引き上げ=日銀さくらリポート
需要項目別では、個人消費が北陸と東海を除く7地域で判断引き上げ。7地域の引き上げは11年7月以来。ただ、北陸は「一部に持ち直しの動きもみられるが、力強さに欠けている」、東海は「持ち直しの動きがみられている」と判断しており、日銀は7地域と方向感が異なるわけではないとみている。
生産は、四国を除く8地域で引き上げ。8地域で引き上げられるのは13年10月以来。国内外で自動車の販売が好調となり、各地域の判断引き上げにつながった。四国では船舶の受注が弱く、自動車のウエートが低かったことが判断据え置きにつながった。
加藤毅名古屋支店長は8日午後の記者会見で、自動車関連産業の好調について「第1次、第2次のみならず下のサプライヤーにも影響が出ている。フル生産になっているところが多い状態だ」と述べた。
個人消費や生産とは対照的に、設備投資は5地域で引き下げ、雇用・所得は4地域で判断が引き下げられた。設備投資については、新型コロナの感染拡大を巡る不確実性から投資を先送りする動きが出ている。
所得については「夏季賞与は前期の業績に連動するため例年並みの支給となったが、冬季賞与は足元の業績悪化が反映されるため大幅減となる見通し」(金沢、生産用機械)といった声が出ていた。
<資金繰り、東海は「ほとんどが年度内の手当てにめど」>
今回は8地域の景気判断が引き上げられたものの、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で経済の先行き不透明感は大きい。記者会見に臨んだ各支店長は、景気回復ペースは緩やかになるとの見通しを示した。
企業の資金繰りについて、加藤名古屋支店長は「管内のほとんどの企業は、少なくとも年度内については資金繰りのめどがついている」と指摘。業況が回復する一部の企業では、予備的に借り入れた資金を返済する動きも出ていると話した。ただ、収益が低迷し資金繰りが厳しい企業もあるため、年末、年度末の動きを注意深く見ていくと述べた。
山田泰弘大阪支店長(理事)は「厳しい状況が続けば、企業の資金繰りが徐々に逼迫していく可能性はある」と指摘。金融機関が企業に事業再編の提案をしたり、事業の回復が見込める企業には支援融資をするなどして「経済が回っていくのを期待している」と述べた。
韓国との往来再開について、山田大阪支店長は「明るいニュースだ」と述べる一方、「どういう成果が出るのかについては、関係者の間で努力されていくものだと認識している」と話した。
*内容を追加して再送します。
(和田崇彦 編集:内田慎一)
PR
PR
PR