- 2020/07/29 掲載
政府見通し、20年度は5%未満のマイナス成長 コロナ不透明で2通り提示=関係筋
これを踏まえ、中長期試算では4通りのシナリオを示す。関係者によると、成長率が大きく伸びる場合でも、基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化は、従来の2027年度から1-2年先送りされる。従来3.6兆円と試算されていた25年度のPB赤字は5兆円程度ないし7兆円程度に膨らむ。
新型コロナの内外経済への影響が不透明なため、経済協力開発機構(OECD)は世界経済見通しで、第2波の影響が軽微な場合と深刻な場合と2通り示している。暦年で日本経済の成長率は「第2波軽微シナリオで」2020年マイナス6%、21年プラス2.1%、「第2波深刻シナリオ」で20年マイナス7.3%、21年マイナス0.5%となっている。
関係者によると内閣府もOECD試算などを参照し、20年度の成長率はマイナスが不可避だが、21年度の成長率は「第2波深刻シナリオ」でもプラスを確保する見通しという。
政府はこれまで年2回公表する中長期試算では、名目3%台の成長を想定した「成長実現ケース」と、1%台の成長を前提とする「ベースラインケース」の2通りのシナリオを示してきた。
しかし年央試算で20、21年度の見通しを、第2波の影響が軽微な場合と深刻な場合と2通り示すことなどを踏まえ、中長期試算でも第2波の影響を2通り試算し、それぞれの場合に「成長ケース」と「ベースラインケース」を試算し、計4シナリオとする。
内閣府はリーマン・ショック後の2009年1月にも、内外経済の見通しが立ちにくいため、世界経済、消費増税、社会保障関連費用のそれぞれの可能性を勘案し17通りものシナリオを提示した経緯があるが、「政策実行面ではわかりやすさが大切」(政府高官)との考えから今回は4通りに絞ることにしたという。
これに伴い従来2027年度としてきた基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化の達成時期も後ずれする。4シナリオ中最も楽観的な「成長ケース」「第2波軽微シナリオ」でもPBの黒字化は最短でも28年度と、1年程度先送りされる見通し。「成長ケース」「第2波深刻シナリオ」ではPB黒字化は29年度へ2年先送りされる。「ベースラインケース」では従来同様見通し期間の最終年度である29年度までのPB黒字化は実現しない。
(竹本能文)
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