- 2020/07/17 掲載
ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨
理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。
<見通しの不確実性>
回復規模の見通しについて不確実性の高い状態が続いている。リスクバランスは引き続き下向きだ。
<買い入れペース鈍化>
ECBは買い入れペースを若干鈍化させた。(景気見通しに)大きなプラスのサプライズがない限り、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の買い入れ枠を全て利用するとの基調的な方針に変わりはない。
<欧州委の次の提案>
欧州委員会の次の提案を強く歓迎する。健全な構造政策にしっかりと立脚している必要がある。
<PEPP買い入れ前倒し>
ECBはPEPP買い入れを前倒しで実施している。初めの数カ月で3600億ユーロを超える買い入れを行った。これは実質的に6月末までの数字だ。
<パンデミック緊急購入プログラム>
PEPPは効果的かつ適切に機能している。われわれは(PEPPの変更について)議論していない。再検討する必要はないとみている。
<経済は良い状態>
今回の理事会では、経済状況を巡る考察にかなりの時間を費やした。経済動向を見る限り、現時点で良い状態にあると感じた。感染第2波のリスクを考慮している。
<センチメントは改善>
金融市場のセンチメントは改善している。
PEPP発表時と比較すると、ユーロ圏の投資適格社債のスプレッドは80ベーシスポイント(bp)以上、ハイイールド債のスプレッドは250bp以上低下しており、大幅な改善が見られる。とはいえ、パンデミック開始前の状態に戻ったとは言えない。
例えば、ほとんどの地域の国債利回りはパンデミック前よりも依然として高水準で推移している。これは金融政策の観点からも非常に重要な意味を持っている。
<経済活動は再開>
入手した情報によると、ユーロ圏の経済活動は再開しているもようだが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以前の水準を大幅に割り込んでおり、見通しは依然として極めて不確実だ。
<まだら模様で部分的>
ハイ・フリークエンシー統計と調査指標の双方が4月に底入れしており、新型コロナの継続的な抑制や都市封鎖(ロックダウン)の緩和により、5月から6月にかけてはまだら模様で部分的ながら著しい回復を示している。
<雇用減が圧迫>
足元や今後の雇用と収入の減少に加え、新型コロナや経済見通しを巡る極めて高い不確実性が、個人消費や企業の設備投資を引き続き圧迫している。
<物価圧力はかなり抑制>
物価の総合指数はエネルギー安による下押しを受けており、実質域内総生産(GDP)の急激な縮小やスラック(需給の緩み)の大幅な拡大に伴い、物価圧力は今後もかなり抑制される見通しだ。
<潤沢な金融刺激必要>
景気回復を下支えし中期的な物価安定を保護するために、潤沢な金融刺激が依然として必要になる。
<段階的な引き揚げ>
景気を支援すると同時に加速を促進するというタイミングを巡るジレンマの中にあるため、各国政府は回復が根付くにつれ、(財政刺激策を)段階的に引き揚げることを重く受け止めると願っている。
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