- 2020/07/15 掲載
日産、EV「アリア」を来年半ば日本で発売 復活の象徴なるか
同社はカルロス・ゴーン前会長の拡大路線による過剰設備や販売不振などで業績が悪化、トップの不正でブランド力も落ちており、最新の運転支援・コネクテッド技術を搭載したアリアを「復活」の象徴にしたい考えだ。アリアを機に、車の前後に付けるブランドロゴ「NISSAN」のデザインも変更し、他の車も全面改良などに合わせて順次切り替える。
開発期間は約5年。車両開発主管の中嶋光氏は「『アリアは今の日産を象徴する車で将来の日産につながるところをしっかりと見せないといけない車。妥協してつくるな』と経営陣から言われた」と話し、「そんなに利益は出ない。今はそのくらい頑張っている」と語った。
日本を皮切りに欧米や中国でも投入する予定で、販売規模は中国が最多、次が欧米、日本と続く見込み。前会長の時代は日本での新車投入は後回しで「日本軽視」とみられていたが、今回は日本で最初に発売する。中嶋氏は「日産は日本の会社。日産を象徴する車を日本の顧客にまず乗ってもらいたい」と話した。
日本・欧米向けは、高価格帯モデルを手掛ける栃木工場で生産する。関係者によると、同工場で21年中は4万台を生産し、将来的に計10万台に引き上げたい考え。中国向けは現地生産となる。
65kWhと90kWhのバッテリー、2輪(2WD)と4輪(AWD)の駆動方式を用意し、航続距離は2WDの90kWh搭載車で最大610キロ。リーフでは初期型のユーザーからバッテリーの品質に不安の声が相次いだ時期もあったが、アリアは5年前後で車の寿命が来ても「バッテリーは8割くらい残るようにしている」(中嶋氏)。気温に左右されずバッテリー温度を一定に保つ水冷式の温度調整機能も備えた。
EV専用プラットフォームを開発し、広い室内空間も実現した。ベンチマークとする米テスラ
日産は他社が懐疑的だったEVをいち早くエコカーの本命と位置づけ、10年末にリーフを投入。先陣を切り市場を開拓してきたが、販売は想定通りに伸びてこなかった。いまや新興企業のテスラが台頭し、環境規制強化を背景に各社も開発を急ぐなど競争は激化している。アリアは想定通りの成長軌道を描けるか──新生・日産の力が試されている。
(白木真紀 取材協力:田実直美、白水紀彦)
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