- 2025/04/24 掲載
企業向けサービス価格3月は3.1%に伸び鈍化、24年度では実質34年ぶり上昇率
Tetsushi Kajimoto
[東京 24日 ロイター] - 日銀が24日に公表した3月の企業向けサービス価格指数速報は前年比3.1%上昇と、伸び率は2月の3.2%(改定値)からやや縮小したが、6カ月連続で3%台を維持した。前月比は0.7%上昇と、2月の0.1%(同)から加速。好調なインバウンド(訪日外国人)を背景に、宿泊などの業種で人件費を含む諸コストを転嫁する動きが続いた。
業種別では運輸・郵便が3.1%上昇と、2月の3.3%から伸びが鈍化。リース・レンタルや宿泊を含む諸サービスでも上昇幅が縮小した。前年の反動などがみられた。他方、インターネットなどの広告や情報通信、金融・保険、不動産は上昇率が加速した。
日銀の担当者は日本経済を取り巻く不確実性が依然高いとし、「トランプ米政権の関税政策や海外経済、地政学リスクの影響も踏まえた国際商品市況や海運市況の動向を注意していく」考えだと述べた。ただ、米関税措置による「特段の影響」はみられなかったとした。
3月は146品目中上昇が112、下落が18で、差し引き94となり、2月の92から上昇品目数が増えた。
同指数は、物流費やシステム費、不動産賃料など企業間で取引されるのサービスの価格動向を捉えたもので、昨年来、人件費・物流費などの転嫁とインバウンド需要の伸びにけん引されてきた。サービス業は製造業より労務費の占める割合が大きく、「賃金と物価の好循環」を重視し金融政策に当たる日銀が注目している。
2024年度平均は前年度比2.9%上昇と、23年度の2.4%からの伸び率が拡大し、消費税の影響を除くと1990年度(3.7%)以来の高水準を付けた。堅調なインバウンド需要などを反映した。
野村証券の野崎宇一朗エコノミストは、企業向けサービス価格の伸びが4─6月期にさらに拡大するかが注目点と指摘。実質賃金がまだマイナス基調で、消費指標も弱いなどどんどん値上げできる状況にないことに加え、米関税措置により「世界的に景気が後退する懸念が高まっている」という。賃上げが停滞し景気の好循環が崩壊するリスクが無視できない状況だと語った。
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