- 2024/11/27 掲載
アングル:高値更新も暴落に備える米株市場、トランプ政策リスクに警戒感
[ニューヨーク 27日 ロイター] - 米国株式市場が選挙を受けた買いで最高値を更新する一方、暴落に備えたプロテクション需要も高まっている。
選挙を巡る不透明感が解消したことで投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)は26日、選挙後の最低水準付近となる14.10で取引を終えた。
しかし、ネーションズ・テールデックスやCBOEスキューなど、極端な相場変動に対するプロテクション需要を測るいくつかの指数は上昇。投資家が破滅的なイベントを予期していることを必ずしも意味しているわけではないが、来年の貿易戦争に伴うインフレ再燃の可能性など、いくつかのリスクに警戒感が高まっているようだ。
RBCキャピタル・マーケッツでデリバティブ戦略を統括するエイミー・ウー・シルバーマン氏は、投資家は「ファットテール(極端な相場変動が理論値以上の確率で発生すること)」リスクに備えていると指摘。「投資家は全般的に株式ロングを維持しているが、正規分布のテール(尻尾)はよりファットに(太く)なっている。これは地政学的なリスクプレミアムの上昇やトランプ大統領による関税発動の可能性など、潜在的な政策リスクが一因だ」と話す。
「SPDR・S&P500ETFトラスト」が大きく動いた場合に備えたヘッジコストを測るネーションズ・テールデックスは13.64まで上昇。選挙後の最低水準6.68の2倍に達した。
CBOEスキューは25日に167.28と2カ月ぶりの高水準で引けた。
VIXコール・オプションは市場での売りに対するプロテクションを提供するもので、「テールリスク(確率は低いが発生すると影響が大きいリスク)」に対するプロテクション需要の一端を示している。サスケハナ・ファイナンシャル・グループの分析によると、「VIX3カ月物コール・スキュー」はこの5年余りで最高の水準付近で推移している。
サスケハナのデリバティブ戦略担当共同責任者クリス・マーフィー氏は「一般的な考え方では、ボラティリティーがかなり低くなる可能性は80─95%で、それがVIXが相対的に低い理由だが、テールイベントがより多く織り込まれている」と述べた。
UBSの株式デリバティブ担当ストラテジスト、マックスウェル・グリナコフ氏は、政策不透明感など市場は下振れへのヘッジに備える理由があるとし、来年は2018年と類似する可能性があると指摘。この年は年初に株価が最高値を更新したものの、貿易や関税に関するニュースによって成長期待が損なわれ、資産クラス全体でボラティリティーが上昇する中、株価は下落した。
今回のプロテクションに対する需要の高まりについては「正当化されると思う」と語った。
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