- 2024/11/27 掲載
保有国債の評価損が過去最大、9月末13兆6604億円 金利上昇で=日銀
[東京 27日 ロイター] - 日銀が27日に発表した2024年度上半期の財務諸表などによると、日銀が保有する国債の評価損は9月末時点で13兆6604億円と半期ベースで過去最大となった。日銀の利上げなどで市場金利が上昇したため。国債買い入れの減額により、保有する長期国債は08年度上半期以来16年ぶりに減少した。
9月末時点で日銀が保有する長期国債は582兆9910億円と、前年同期末の584兆6107億円からわずかに減少した。
保有する上場投資信託(ETF)の評価益は33兆0711億円で、3月末の37兆3120億円から減少した。
24年度上半期の経常利益は43.7%減の1兆7925億円となった。ETFの分配金等収入が1兆2641億円と高水準を維持する一方で、為替差損や利上げに伴う日銀当座預金の超過準備への支払い利息の増加が収益を圧迫した。
為替が円高に振れたことで、為替差損は5197億円となった(前年同期は1兆1394億円の差益)。日銀当預の超過準備への支払い利息は前年同期比4.3倍の3922億円だった。一方で、金利上昇で保有国債の受取利息は19.4%増の9636億円となった。
最終利益に当たる当期剰余金は4.8%減の1兆8357億円。外国為替等取引損失引当金を取り崩したことなどで、経常利益に比べ減少幅が小さくなった。
<くすぶる早期の赤字転落観測>
24年度上半期決算では、段階的な利上げが日銀の収益を圧迫した。
大和総研の中村文香研究員によると、11月20日時点で日銀が保有する長期国債の残高が581兆円、表面利率が平均で0.58%なのに対し、所要準備残高を除く当座預金残高は約531兆円で「補完当座預金制度の適用利率が0.64%を超えると、利払い額が利息収入を超えることになる」という。
ただ、実際は11月20日時点の長期国債残高に表面利率の平均値を掛けて導ける理論上の受取利息が約3.4兆円なのに対し、23年度決算によると国債の受取利息は約1.7兆円に過ぎない。補完当座預金制度の適用利率が0.32%を超えると利払い額が23年度決算の実績値を超える計算になり、現在の付利水準の0.25%から7ベーシスポイントしか余地がないことになる。
中村氏は「ETFの分配金等があるので0.32%を超えて利上げをしたら即赤字ということにはならないが、思ったほど余裕はないのではないか」とみている。
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