- 2024/06/04 掲載
国債買い入れ、非連続・不測の変化避けるべき=氷見野日銀副総裁
[東京 4日 ロイター] - 日銀の氷見野良三副総裁は4日、都内のイベントで、3月にイールドカーブ・コントロール(YCC)を撤廃し、市場機能が「十分に良くなった」と評価する一方で、日銀の国債買い入れ額はなお多く「市場関係者はどうしても日銀の動きを気にせざるを得ない状況だ」と指摘した。長期金利は市場で決まるのが望ましいが、日銀が依然として市場に深く関わっている現状を踏まえれば「非連続・不測の変化は避けないといけない」と話した。
米コロンビア大学ビジネススクール・日本経済経営研究所主催のイベントで行われたパネルディスカッションに登壇した。
日銀は3月の金融政策決定会合で、国債買い入れについて「これまでとおおむね同程度の金額」で継続することを決定。5月13日、3月会合以降では初めて5―10年の国債買い入れを500億円減額すると、国債買い入れ減額を巡る不透明感から10年金利上昇の一因となった。
氷見野副総裁は、異次元緩和で膨らんだ日銀のバランスシートの扱いについて「経済・物価を第一に考える」とも述べた。
氷見野副総裁は、為替レート自体をターゲットにして金融政策を運営するのは適切ではないと指摘した。為替相場の変動が経済・物価に及ぼす影響やその見通しは金融政策を運営する上で「非常に注意を払ってしっかり分析をしなければいけない」と述べる一方で、経済・物価には為替以外の要因も影響するとし、政策判断に当たっては為替の影響だけでなく、経済・物価のさまざまな側面を見た上で行うのが望ましいとの見方を示した。
短期政策金利の到達点(ターミナルレート)については「あらかじめここだと言うのは非常に難しい」と述べた。日本の場合、長らく短期の政策金利をあまり動かしておらず、動かした場合の経済・物価の反応についてデータがないことや、自然利子率の推計の難しさを挙げた。
日銀は四半世紀の金融政策運営を振り返る「多角的レビュー」を実施している。氷見野副総裁は、ゼロ金利制約に直面するもとでの非伝統的金融政策の波及経路について、為替・株価などの資産価格の影響を通じてと推測することができると述べた。
氷見野副総裁はまた、「貯蓄から投資」など「長年政府が様々に努力して働きかけたことが最近ようやく芽が出始めてきたように思える」とも話した。氷見野副総裁は金融庁長官を経て、2023年3月に日銀副総裁に就任した。
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