• 2024/04/08 掲載

インタビュー:コンサル収益25年度に1.5倍へ、グループの起点に=みずほ信託社長

ロイター

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Ritsuko Shimizu Makiko Yamazaki

[東京 8日 ロイター] - 今月1日に就任したみずほ信託銀行の笹田賢一新社長は、ロイターとのインタビューで、企業の価値向上や統治(コーポレートガバナンス)の整備を支援するコンサルティング業務の収益を2025年度に23年度比1.5倍に拡大する方針を明らかにした。株主名簿を管理する信託銀行の特徴を生かし、みずほグループの課題解決型ビジネスの起点になることに意欲を示した。

信託銀行は株主名簿の作成など企業の株式に関する業務を手掛けており、そこから企業が抱える課題を発見、解決を提案するコンサルにつなげやすい立場にいる。金融機関に対する企業のニーズはこれまで資金調達が中心だったが、資産の効率的な活用やコーポレートガバナンスの強化、株式戦略の助言などに広がっており、笹田社長は「信託の時代だ」と語った。

企業に対するIR(投資家に対する広報活動)・SR(株主に対する広報活動)のコンサル業務は競争が激しくなっているが、笹田社長は「我々は株主名簿を管理しているという立場にあり、最初の起点になり得る」と説明。「ここでのいろいろな相談が不動産の活用やM&A(合併・買収) 、MBO(経営陣による自社の買収)のファイナンスなどグループのビジネスにつながる。グループの中での存在感を一層高めたい」と述べた。

M&Aの助言などアドバイザリーの受託件数は、昨年度比約1.5倍に増加しており、笹田社長は「今年度以降もすごく増えると思っている」と語った。

企業が政策保有株の売却を進める中、安定株主として存在感を増す個人株主への戦略が重要になりつつある。その1つが株主優待のあり方で、これまでは保有株式数に応じて優待のランクが決められることが多かったが、たとえば同じ100株を持っていても1年しか持っていない人と5年持っている人では優待に差をつけるように変えてきた。笹田社長は「保有数が多く、保有期間が長い人ほど優待の率が高い。これこそ戦略そのものだと思う」と話した。

同行は企業の個人投資家向け戦略強化の一環としてして、23年4月からエモーションテック社(東京都港区)と連携。株主アンケート調査の分析を行うなどしている。

笹田氏は1968年生まれの55歳。92年4月に安田信託銀行(当時)に入行。4月1日付で社長に就任した。

*インタビューは2日に実施しました。

(清水律子、山崎牧子 編集:久保信博)

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