• 2024/02/08 掲載

マイナス金利解除後の金利の道筋、経済・物価次第=内田日銀副総裁

ロイター

photo
  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。


Takahiko Wada

[奈良市 8日 ロイター] - 日銀の内田真一副総裁は8日、奈良県金融経済懇談会後の記者会見で、マイナス金利を解除した後の利上げの道筋は「今後の経済・物価情勢次第だ」と強調し、望ましいと考える利上げ幅や利上げペースについては言及を避けた。現時点でビハインド・ザ・カーブに陥っているわけではないとも述べた。

内田副総裁は同日午前のあいさつで、マイナス金利を解除しても「どんどん利上げをしていくようなパスは考えにくい」と述べ、緩和的な金融環境を維持することになるとの見通しを示していた。

日銀がもし、市場予想通りにマイナス金利解除に踏み切れば、2007年2月以来、17年ぶりの利上げになる。

日銀は06年から07年にかけて量的緩和解除、ゼロ金利解除、利上げと段階を踏んでいったが、当時との比較を問われた内田副総裁は、あくまで利上げ判断は今後の経済・物価情勢次第であり「その当時と比べるという発想をそもそもしたことがない」と述べた。

<「ビハインドザカーブに陥っているわけではない」>

市場では日銀が3―4月にもマイナス金利を解除するとの見方が強い。内田副総裁は会見で、物価目標の判断に当たり、春闘(春季労使交渉)で賃金が確認できるため「重要なイベントだ」と指摘した。春闘の集中回答日は3月の金融政策決定会合前にある。

一方、現時点で「ビハインド・ザ・カーブに陥っているということはない」と述べた。賃金・物価の好循環を見極める「時間的な余裕があるのか」との質問には、あいさつでの表現を言い換えると市場で誤解を生じる恐れがあるとして、明確に答えなかった。内田副総裁はあいさつで、賃金と物価の好循環を確認するため、さまざまなデータや情報を「丹念に点検していく」と述べている。

<バランスシート、今後のあり方は決まっていない>

内田副総裁はあいさつで、イールドカーブ・コントロール(YCC)など金融緩和の個々の政策ツールについて、具体的に修正のあり方を論じた。

記者会見では「変えるものを先に決めて、それにふさわしい状況になるか判断するのではなく、まず情勢判断が先にある」と述べ、大規模緩和の修正に当たっては「セットにするのか、1個1個なのかという議論はあまり発想の中にはない」とした。YCCを巡っては「いきなり国債買い入れをやめることはあり得ない」と言明した。

あいさつで言及がなかった、膨張した日銀のバランスシートのあり方については「現時点で決まっていない」と述べた。

日銀は物価の実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベースの拡大を継続する方針(オーバーシュート型コミットメント)を掲げている。内田副総裁は、物価目標実現が見通せるようになったら、オーバーシュート型コミットメントについても判断すると述べた。

物価はオーバーシュート型コミットメント導入時の緩やかに上昇率を高めていくとの想定とは異なり、22年4月から輸入物価の高騰で上昇率が急に高まり、その後伸び率が縮小するプロセスをたどっているが、こうした当初想定と異なる物価の経路がオーバーシュート型コミットメントを巡る今後の議論に影響する可能性はあると付け加えた。

岸田文雄首相は6日の国会答弁で、政府と日銀の連携について、具体的な金融政策は日銀に任せなければならないが、構造的な賃上げと緩やかな物価上昇で経済の好循環を取り戻すことを目指す政府の経済政策を「日銀もしっかり理解してもらった上で日銀独自の金融政策を判断するのがあるべき姿だ」と話した。

内田副総裁は「政府と同じ考え方の中で政策を行っている」と述べた。

(和田崇彦)

評価する

いいね!でぜひ著者を応援してください

  • 0

会員になると、いいね!でマイページに保存できます。

共有する

  • 0

  • 0

  • 0

  • 0

  • 0

  • 0

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
関連タグ タグをフォローすると最新情報が表示されます
あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます