- 2024/02/04 掲載
米FRB、利下げ判断一段と難しく=雇用、想定上回る強さ
【ワシントン時事】2日公表された1月の米雇用統計では、非農業部門の就業者数が市場予想の2倍近く増加し、労働市場の堅調さが改めて示された。インフレに影響する平均時給の伸びも加速。雇用情勢は想定以上に強く、連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ時期を巡る判断は難しさを増している。
1月の就業者数は前月比35万3000人増と、市場予想(18万人増)を大きく上回った。昨年12月も33万3000人増と、従来発表から大幅に上方修正され、市場からは「(想定を)吹き飛ばすような数字」(米エコノミスト)との声が上がった。
労働市場の過熱は賃金上昇を招き、インフレ圧力を高めかねない。FRBは労働需給が「均衡に向かっている」(パウエル議長)とみていたが、ボウマン理事は2日の講演で「昨年からのトレンドが後退しているようだ」と分析した。
FRBが重視するインフレ指標、個人消費支出(PCE)物価指数上昇率は昨年12月、2.6%まで低下し、目標の2%に近づいた。順調なインフレ鈍化を踏まえ、FRBは年内の利下げ開始を視野に入れる。
しかし雇用統計の予想外の強さを受け、ボウマン氏は「これからは特にインフレ統計を注視する」と表明。拙速な利下げを回避するため、経済指標を綿密に点検していく考えを示した。
雇用や景気の動向は、11月の大統領選の行方を左右する。再選を目指すバイデン大統領は雇用統計を受け「米経済は世界で最も強い」とアピールした。一方、共和党の候補者指名が有力視されるトランプ前大統領は、景気押し上げにつながる利下げは「民主党を助ける」とけん制している。FRBは大統領選まで、政治的な「雑音」の中での政策運営を迫られる。
【時事通信社】
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