- 2024/01/30 掲載
マイナス金利「異常でやめた方が良い」 継続利上げは困難=自民・石破氏
[東京 30日 ロイター] - 自民党の石破茂元幹事長はロイターのインタビューに応じ、日銀のマイナス金利政策について「異常なあり得べからざる政策でありやめた方が良い」との見解を述べた。同時に能登半島地震の復興財政負担を踏まえると、その後の継続的な利上げは難しいと語った。インタビューは29日に実施した。
<震災で財政出動必要「植田総裁の描いた絵にはならない」>
石破元幹事長は日銀の大規模な金融緩和について「お金の値段である金利がなくなることで、市場機能が働かなくなり、お金が必要なところに回らず必要でないところに滞留した」と発言。「(円高対策として)緊急避難的にはともかく、いつまでも続けるものではなかった」と総括した。
足元の物価上昇については「円安やウクライナ紛争などで引き起こされており、アベノミクスが功を奏して実現したものではない」と指摘した。
2016年に日銀が導入したマイナス金利政策については「異常な政策、あり得べからざることで論外な政策、やめた方が良い」と明言した。
同時に「能登の震災で復興にはかなりの財政出動が必要な状況なので、植田(和男)総裁が想定した絵のようにはいかない」と述べ、マイナス金利の解除後にさらなる利上げを進めるのは難しいとの見解も示した。「金利を引き上げると国債費が増えるだけでなく経済にどのような影響があるか、そのような試算・議論が必要」と強調した。
企業経営者からは「円安や減税、株高、低金利を求める声が非常に多いが、生産性や付加価値をいかに高めるかが重要」と話した。
今後日本の成長をけん引し得る産業として、「農業・漁業・林業を伸ばすのが重要」と指摘。万が一台湾有事など地政学的なリスクが顕在化した場合、「国家が生き残るためにも日本の食料自給率を引き上げることが大切」と述べた。
<トランプ氏再選なら日本にウクライナ復興負担要請も>
米国の大統領選で共和党のトランプ前大統領が当選する場合に想定される日本への影響についても語った。
石破氏は「ウクライナの復興支援の財政支出を日本に求めてくる可能性がある」と指摘した。「ウクライナは財政状況が非常に悪いので、日本の支援額は湾岸戦争時のクウェート支援の比ではない」と懸念を示した。
トランプ氏の政治手法について「サスペンスとディールが本質」と表現。日本に対しては防衛費のさらなる増額を求める可能性があるとした。
<羽田事故遠因に横田空域問題>
日米関係について石破氏は「同盟のフェアネス(公平性)が重要」と強調。日米地位協定の片務的な内容の地道な解消などの必要性を挙げた。年初の羽田空港での衝突炎上事故も「遠因は東京の広大な空間を米軍横田基地が占有していることによる羽田空港の過密すぎる滑走路運用」との見解を示した。
(竹本能文、木原麗花、豊田祐基子)
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