• 2024/01/18 掲載

インタビュー:海外運用会社への出資・買収など検討、事業強化策の一環=みずほFG幹部

ロイター

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Ritsuko Shimizu Makiko Yamazaki

[東京 18日 ロイター] - みずほフィナンシャルグループは、資産運用事業の強化の一環として、海外の運用会社との提携や出資、買収を検討している。株式や債券など伝統的資産とは異なるオルタナティブ領域や海外株式などを運用する会社が対象で、投資家層の広がりに対して商品供給を充実させたい考えだ。

みずほFGは、2023年度からの中期経営計画の中で「資産所得倍増に向けた挑戦」を柱の1つに挙げている。

執行役・アセットマネジメントカンパニー長の佐藤紀行氏はロイターとのインタビューで「金融ビジネスの中で、成長が残された数少ない領域」と述べ、資産運用事業の強化は必須だと強調した。

そのうえで「インオーガニック(他社との提携や買収)で足りないリソースを補給するというのが経営戦略上の基本的な考え」とし「複数の先と提携・出資・買収など様々な選択肢を協議している」と述べた。

運用の世界は、個人が持つ運用実績や履歴が重要な評価基準となるため、ファンドを取り入れるだけでなく、運用の人材を含めて取り込むことも有効だと話す。

一方、ここ数カ月、海外出張の際に海外の会社から「何かビジネスを一緒にできないかと、かなりのアプローチを受けた」と明かす。

日本が30年続いたディスインフレ、デフレから脱却し、インフレの世界に転換しようとしていること、政府が資産運用立国を打ち出したことなどが背景にあり、日本への注目度が上がっているという。

佐藤氏によると、みずほに声をかける企業は、楽天証券との提携による非対面ビジネスや第一生命保険との合弁など、チャネルの多さに魅力を感じているようだという。

資産運用事業の中でも「オルタナティブの分野はギアを上げて取り組みたい」と述べ、22年度に3.6兆円だった同資産の運用残高を10年以内をめどに20兆円に拡大させる方針。

オルタナティブ資産は、未上場株などを組成するためテクニックや目利きが必要になるため、通常の資産運用よりも報酬が厚いという。

オルタナティブ資産を含む運用資産残高は「1トリリオン(1兆)クラブが象徴的な閾値。ひとつ目指す目標だと思っている」とし、現在の約70兆円を10年以内をめどに1兆ドル(現在のレートで約147兆円)に拡大させたい考え。

佐藤氏は、今の日本は15―20年遅れで英国や米国を追い掛けていると話す。英国では1999年に個人の貯蓄や投資を促進する目的でISA(個人貯蓄口座)が導入された。これは、日本のNISA(少額投資非課税制度)のモデルとなった制度。

米国でも1974年に導入されたIRA(個人退職勘定)の拡充などが進められた。こうした制度整備を受けて、モルガンスタンレー証券などは資産運用事業を拡大し、成長につなげてきた。

現在日本でも新NISA開始や確定拠出年金へのシフトなどが進んでいる。佐藤氏は「日本でも15年前、20年前に米国で起きたことと多分同じような資産のシフトが起こる」とみている。

佐藤氏は、30年超にわたって資産運用ビジネスの世界に身を置いてきた。一度みずほを離れ、海外で外資系運用会社の経営にも携わっていた。昨年4月、みずほに戻り、資産運用ビジネスの強化に取り組んでいる。

*インタビューは12日に実施しました。

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