- 2024/01/16 掲載
アングル:中国高配当株に投資殺到、当面続く見通し 根強い景気不信
[上海/香港 15日 ロイター] - 国内経済が低迷する中、中国の投資家たちは、株式から何とかリターンを引き出そうと高配当株に殺到している。複数の市場アナリストもこうしたディフェンシブ戦略を支持している。
配当が高いエネルギー、金融、素材企業で構成されるCSI高配当株指数は2024年第1週に2.6%上昇。対照的に、上海と深センの株式市場に上場する有力企業300銘柄で構成するCSI300指数は3%下落、16年以来最悪の年明けとなった。
UBS証券の中国株ストラテジスト、レイ・メン氏は「機関投資家が価値と確実性を求め、高配当銘柄に投資をシフトしているのが見られる」と述べ、経済や株式市場に対する信頼感はなお弱いと指摘した。
コロナ禍後、中国経済は立ち直ることができていない。不動産危機、地方政府の債務問題、デフレリスクに悩まされており、株式市場の弱体化や投資家心理の悪化につながってる。
こうした中、高配当を安定的に支払う企業は、高い利回りを求める投資家にとって魅力的な存在となっている。CSIのデータによると、CSI高配当株指数の構成銘柄の平均配当利回りは6.3%で、CSI300構成銘柄の2.8%を大幅に上回っている。
<高配当株、人気続く可能性>
配当をテーマにした上場投資信託(ETF)も過去4週間、投資家を引き付けている。シノリンク証券は先週のクライアントノートで、こうしたETFには24年第1週に20億元(約2億7910万ドル)を超える純流入があったとしている。一方で株式ETF全体は38億元の純流出だった。
CSI300指数は20年以降、累積で37%のマイナスを記録。23年は香港のハンセン指数とともに10%超下落し、世界の主要株式市場の中で最悪のパフォーマンスとなった。一方、高配当指数の最大の構成銘柄である陝西煤業、中国神華能源、唐山港集団は、今年に入ってから7─14%上昇している。
高配当株を狙い、23年に7.8%のリターンを上げたHuangYuan Asset Managementのファンドマネジャー、リン・パン氏は、この戦略は24年も成功すると予想。高配当企業の株価は過去3年間に大きく上昇したが、依然として割安であり、こうした企業の一部は利回りが記録的な水準にあると話す。
BNPパリバのアジア太平洋株式デリバティブ戦略責任者、ジェイソン・ルイ氏は、不振の香港市場でも配当は投資テーマになるとし「市場が金利引き下げ局面に移行しているのであれば、7%や8%の配当を支払う企業は、(債券よりも優れたリターンを求める投資家にとって)突如として非常に興味深い投資対象になろう」と述べた。
Shanghai Banxia Investment Managementの創業者であるリー・ベイ氏は、今月の投資家向け書簡で、自身のポートフォリオで高配当銘柄を増やしたと説明。「保険会社は高配当企業を好む」とし、株式市場への保険会社の新たな資金配分が今年、高配当企業に恩恵をもたらすとの見方を示した。
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