- 2024/01/13 掲載
米銀大手の第4四半期、金利高の効果薄れる 特別負担金も収益圧迫
[ワシントン 12日 ロイター] - 米大手銀4行の2023年第4・四半期決算は、預金保険基金向けの負担金や人員削減などでコストがかさみ、精彩を欠いた。金利高による収益押し上げ効果が薄れる兆候がみられ、さらに消費者向け融資が一部で焦げ付き始めている。
それでもJPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ(Wファーゴ)、バンク・オブ・アメリカ(BofA)、シティグループの大手4行は、消費者向け融資の不良債権が新型コロナウイルス禍前の水準に戻りつつある中でも消費はなお底堅いとして、米経済に楽観的な見方を示した。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、消費者は支出を続け、市場は経済の軟着陸(ソフトランディング)を期待していると述べた。同時に、政府支出が今後も物価上昇要因になり得ると予想した。
12月の米消費者物価指数(CPI)上昇率が予想を上回ったことについて、「市場の予想よりもインフレの粘着性が強くなり、金利が高くなる可能性がある」と指摘した。
4行は地銀破綻時の預金保護で流出した連邦預金保険公社の預金保険基金(DIF)を穴埋めする負担金として合計で80億ドル余りを計上。
シティグループはこの負担金やアルゼンチンとロシアの為替リスクに対する引当金が響き、同期は18億ドルの赤字となった。
マーク・メイソン最高財務責任者(CFO)は今後2年間で2万人を削減すると発表した。
Wファーゴは人員削減関連で9億6900万ドル、DIFの負担金として19億ドルを計上した。
BofAは昨年人員削減を実施したと明らかにし、3行による昨年の削減数は1万7700人に上った。
<純金利収入はまちまち>
貸し出しの利息収入と預金者に支払う利息の差である純利金利入(NII)は昨年、金利高で押し上げられたが、連邦準備理事会(FRB)の利上げ停止や融資の伸び鈍化、預金維持にかける費用拡大が利ざやを圧迫している。
BofAは利益が半減。DIFの負担金のほか、預金関連コストの増加でNIIが5%減少したことなどが要因。
Wファーゴは4行の中で唯一増益を確保。コスト削減が奏功して市場予想より大幅な9%増となった。ただ、NIIは5%減少し、24年に7─9%減少する可能性があるとの見通しを示した。
JPモルガンは15%減益となったが、年間では過去最高益を達成し、NIIも19%増となった。
<不良債権>
4行全てが貸倒引当金を増やし、一部の消費者向け融資では回収見込みのない債権が増加した。
最大のリテール銀行を抱えるBofAは回収見込みのない債券が第3・四半期の9億3100万ドルから12億ドルに増加した。
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