- 2024/01/04 掲載
アングル:大発会はバリュー株優位、新NISAマネーが下支えの思惑
[東京 4日 ロイター] - 大発会の東京株式市場では、日経平均が下落した一方、TOPIXは上昇し、バリュー株が優位の値動きとなった。とりわけ高配当株の上昇が意識され、今年から始まった新NISA(少額投資非課税制度)を利用した資金の流入が相場の下支えに作用したとの思惑も出ている。
<新年相場、TOPIXは上昇>
日経平均は、米国市場での金利上昇を受けたハイテク株安を嫌気した売りが先行し、一時770円安に下落した。能登半島地震や日本航空(JAL)機と海上保安庁機の衝突事故といったニュースが年明け以降に続いたことも、いったんの手仕舞いにつながったとみられている。
ただ、その後は短時間で下げ幅を縮小。TOPIXバリュー指数はこの間にプラスに転換し、午前中にプラスとマイナスを往来したTOPIXも午後には明確にプラスに転じた。一方、日経平均やTOPIXグロース指数は終日マイナスで推移しており、バリュー株を中心に買い戻す動きが指数を下支えした形となった。
「指数が朝安後に切り返した場面では、高配当株を買い戻す動きが目立っており、新NISAを利用した資金が流入した可能性がある」と、しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンド・マネージャーは話す。
<新NISA開始で高配当株高の見方>
市場関係者の目を引いたのは高配当株の強さだ。
この日は中東での地政学リスクの高まりを受け、運賃上昇の思惑が継続した川崎汽船など海運株が大幅高となったほか、原油高を受けてINPEXなどの鉱業株や出光興産など石油・石炭製品関連株も堅調に推移した。これらの銘柄群は高配当株が多い。
材料の出た銘柄だけでなく、高配当株の代表銘柄とされるJT、ソフトバンク、武田薬品工業などが物色され「新NISAの開始と無関係ではないだろう」と、マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストもみている。
24年から始まった新NISAでは、投資家層が拡大して経験の浅い投資家の参入が増えると期待されており、当初は手掛けやすい高配当株に資金が向かいやすいとみられている。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「月初は積立投信の設定日の関係でNISA資金が流入しやすい」と指摘している。
<「日本より海外」の資金の流れ、地震発生で強まるとの思惑>
もっとも、新NISA資金が先行き、どの程度、下支えになるかは依然として不透明でもある。新NISAでは、成長期待が相対的に高いとされる米国株や、リスク分散の観点から全世界株式へと資金が流れるとの見方は多い。
新NISA利用の資金の流れは年間6―7兆円となり、うち6―7割が海外、3―4割が国内に向かうと金融市場では想定されているというのが、松井証券の窪田氏の見立てだ。
能登半島地震の発生を踏まえ、日本株への新NISA資金の流入が従来想定より抑制され得るとの指摘もある。
今回の地震の日本経済全体への影響は、原発事故のあった東日本大震災の際に比べると限られるとの見方もあるが、日本は地震の多い国だということが投資家に再認識されてくるとの見方から「リスクヘッジのための分散投資の観点で、ますます海外への投資が意識される可能性がある」とマネックスの広木氏は話している。
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