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  • 2021/06/17 掲載

ゼロからわかる「DMP」入門、CDPとの違いやサービス一覧をまとめて解説

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ユーザーの増加、アドテクノロジーの成熟などを背景に、インターネット広告の有用性はますます浸透している。その代表的な手法が、Web閲覧履歴などをもとに、生活者の趣味嗜好にマッチした広告を出す手法「行動ターゲティング広告」である。本稿では、行動ターゲティング広告を支えるソリューションであるDMP(Data Management Platform)について、『マーケティングのデジタル化5つの本質』(共著)の著者であり、インティメート・マージャー 代表取締役社長 簗島亮次氏の取材協力のもと、解説する。
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DMPの基礎を解説、代表的なソリューションは?
(Photo/Getty Images)

行動ターゲティング広告の仕組み

 DMPの説明に入る前に、まずは行動ターゲティング広告の仕組みについて、例を用いて説明しよう。

 筆者は先日、ポータブル電源が欲しいと思い、ネットでさまざまな商品を検索した後、Amazon.comで購入した。するとFacebook広告をはじめ、普段閲覧する情報サイトやブログなどに表示される広告が、軒並みポータブル電源一色になった。同じような経験をした方も多いだろう。これが行動ターゲティング広告だ。

 このとき活躍しているのが、Cookie(クッキー)と呼ばれる仕組みである。 Cookieとは、焼き菓子のクッキーからネーミングされたもので、特定のWebサイトを訪問した際に、生活者のPCやスマートフォンなどに対し、保存される情報である。「PCに情報を食べさせる」ことから、焼き菓子と同じ、Cookieというネーミングがされている。

 対象となる生活者(ユーザー)が閲覧したWebサイトの履歴、ECサイトでの購買履歴、広告閲覧履歴、検索エンジンでの検索履歴に加え、生活者当人の年齢、性別、居住地、職業、年収、家族構成などの属性情報を組み合わせて、生活者が興味を持つターゲットを絞るのだ。

 ECサイトにおいて記録されたCookie、ある商品サイトにおいて記録されたCookie。「ポータブル電源」とネット検索された履歴を記録したCookie。こういった複数のCookieが、マッチングされることにより、生活者の趣味嗜好が明らかになっていくのだ。

 このように、行動ターゲティング広告は、インターネットの双方向性──生活者は、ネットを閲覧すると同時に、Webサイトの運営者から見られている──を生かした技術だ。

 ここ数年、前年比を下回り続けているマスコミ四媒体への広告費に対し、インターネット広告費は、集計が開始された2000年以降、拡大を続け、マスコミ四媒体(新聞・雑誌・テレビ・ラジオ)の広告費に迫りつつある。インターネット広告は、より効果的なマーケティング手法、より費用対効果の高い広告手法として認知されている。行動ターゲティング広告は、その代表例である。

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インターネット広告とマスコミ四媒体(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)における国内広告費の遷移

(『日本の広告費』(電通)をもとに筆者作成)

DMP(Data Management Platform)とは何か

 DMPとは、生活者のWebサイト訪問などによってもたらされる閲覧履歴データや、ネット上に蓄積された多種多様なビッグデータを収集、蓄積した上で、分析を行い、広告配信などを行うためのプラットフォームである。

 筆者とポータブル電源のケースを例に取ろう。

 たとえば、比較的小容量で、持ち運びにアドバンテージを持つポータブル電源を製造販売するメーカーにとっては、大容量ポータブル電源を求める生活者は、販売ターゲットにならない。

 にも関わらず、もし、「ポータブル電源」をネット検索した生活者すべてに広告を出してしまうと、広告費が無駄になる可能性が高い。そのため、DMPを用いて、生活者に対する絞り込みを行い、最適なターゲット(生活者)に対し、最適な広告を見せるのだ。

 つまり、DMPを利用すれば、広告主は、「自社商品(サービス)を買うかもしれない」潜在顧客に対し、より確実に、より効果的に、広告を届けることができるようになる。

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DMPとデータマッピングの概念図
(「個人情報利活用時のデータ・ガバナンス構築に法務部門はどう関わるか」(大井哲也 / ビジネス法務 2020年8月号)掲載の図表をもとに、筆者作成)

 ちなみに、広告を出稿する側である企業やECサイト、Webサイトオーナーらが、自ら収集した生活者に対するデータを、1st Party Data(ファーストパーティデータ)。第三者から提供された生活者に対するデータを、3rd Party Data(サードパーティデータ)と呼ぶ。

パブリックDMPとプライベートDMP、CDPとの違い

 DMPには、パブリックDMPとプライベートDMPがある。さらに言えば、CDP(Customer Data Platform)も、DMPと混同しやすい。

 結論から言えば、パブリックDMPとプライベートDMP、CDPは極めて似通った機能を備えており、厳密に区別するのは難しい。それでもあえてこれらを区別すると、以下のようになる。

  • パブリックDMP
    3rd Party Dataを主体として運用するDMP。
  • プライベートDMP
    企業自らが収集した1st Party Dataを主体として運用するDMP。
  • CDP
    直接個人に紐付くデータ(メールアドレスや会員IDなど)を主体に、1st Party Data、3rd Party Dataも紐付けて運用される。

 DMPにせよCDPにせよ、いずれも複数の属性情報や、生活者の行動履歴データをマッチングして活用される。

 そのKey、すなわちターゲットに対する起点情報となるのが、パブリックDMPでは3rd Party Data、プライベートDMPでは1st Party Data、CDPでは個人に紐付くメールアドレスや会員IDなどになるわけである。

 ここで気がついた読者もいるかもしれない。DMPは、MA(Marketing Automation)やCRM(Customer Relationship Management)にも近く、ターゲットの属性を分析するという点から言えば、BI(Business Intelligence)の要素も備えているものもある。

 広告やマーケティング、もしくは営業の最適化に利用されるこれらのツールは、目的も、機能も近しい関係にあるのだ。

【次ページ】DMPのサービス一覧と市場展望
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