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GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)や中国のBAT(百度<バイドゥ>、阿里巴巴<アリババ>、騰訊<テンセント>)を代表とするデジタルプラットフォーム企業(以下、デジタルプラットフォーマー)の台頭により、世界で流通するデータの量は指数関数的に増加し、データを利用したビジネスの影響力は大きく拡大している。デジタルプラットフォーマーがもたらす光と影を、各国の政策の動きを読み解きながら解説する。
デジタルプラットフォーマーの台頭からリアル領域への事業拡大へ
デジタルプラットフォーマーの台頭によるデータの利用拡大に伴い、10年間で時価総額の世界トップ10企業は大きく変化した。
10年前は石油、製造、通信、金融といった企業がランキングの中心であったのに比べ、2018年はベスト10のうち6社がデジタルプラットフォーマーで占める状況だ。
これまでGAFAは、グーグルは検索エンジン、アップルはPCやiPhone、フェイスブックはSNS、アマゾンは電子商取引といったWeb中心のデジタル領域が事業起点となっていた。
近年、デジタル領域の事業起点から収集した膨大なデータとインフラ基盤を武器に、決済や実店舗での小売りやIT化した住宅(スマートホーム)、自動運転といったリアルな領域へ事業を拡大させている。
デジタルプラットフォーマーは、AI関連のサービスにも、注力している。
グーグルやアマゾン、マイクロソフトなどのクラウドサービスを提供するデジタルプラットフォーマーは、データ収集基盤を備えるだけでなく、プロセッサからフレームワーク、AI関連の技術や機能のAPI化、学習済みのモデル提供など、さまざまなクラウドサービスを網羅している。
デジタルプラットフォーマーの事業拡大で鍵を握るのがAPIだ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなどは、「学習済みAI機能」を、APIを通じサービスとして提供する。
自社で開発・学習済みのAIを「APIと計算能力」という形で提供することで、API利用料、クラウドサービス利用などの対価を得るビジネスモデルとなっている。
顧客企業からアップロードされるデータにより、デジタルプラットフォーマーは自社AIの更なる精度向上を見込む。これにより、顧客企業を自社クラウドサービスへ誘引する効果が期待できる。
これらのサービスを利用する顧客企業にとっても、自社での人工知能開発のコスト(時間など)を削減することができるというメリットがある。
AIをAPIで公開することで、膨大な学習済みのデータモデルを顧客企業から収集して精度を向上させ、さらに広範囲な事業に拡大するーー。デジタルプラットフォーマーは既存の枠組みを超えたデータエコシステムの好循環モデル生み出している。
デジタルプラットフォーマーがもたらすメリットと問題点
ユーザー企業は、デジタルプラットフォーマーが提供するサービスを利用してさまざまなメリットを享受しているが同時に、さまざまな問題点も指摘されている。
具体的なメリットや問題点については、経済産業省が2018年10月に実施した「オンライン・プラットフォームと事業者の間の取引関係に関する事業者向けアンケート調査(GAFAなどのサービスをビジネスで活用している事業者が対象)」から読み取れる。
中小企業・ベンチャーやフリーランスなどの層は、デジタルプラットフォーマーのサービスを利用することで、「メリット」を得ているという声が多数を占めた。
具体的には、新規顧客の開拓機会の獲得や売上金の回収コスト軽減、制作・販売ツールの利用が可能である点などだ。
その一方で、「取引するデジタルプラットフォーマーを切り替えることが困難」という回答が65%を超えた。
デジタルプラットフォーマーに依存する問題点としては、「個別交渉が困難」「規約などの一方的変更」「利用料・手数料が高い」「検索結果が恣意的・不透明」といった声も多くなっている。
【次ページ】政府が進めるデジタルプラットフォーマーに対するルール整備
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