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『Amazon Go』など、ECはオンラインからリアルへ接点を広げている
流通・小売業において急速に進む「デジタル化」の状況について林氏は、「EC専業事業者は、オンラインを起点に顧客理解のためのデータ獲得のタッチポイントを拡張しています」と述べる。「ECというチャネルは、これまでWeb上で購買体験を完結していました。しかし最近は、アマゾンがレジがない実店舗『Amazon Go』を展開するなど、商品選択だけでなく、購入のチャネルもリアルに接点を広げてきています」(林氏)
一方で、パルコのような実店舗(ショッピングセンター)を展開してきた事業者は、「オフラインを起点に、顧客理解のためのデータ獲得のタッチポイントを拡張していくことが課題です」と林氏は話す。
パルコは、2013年からオムニチャネルの取り組みを本格化させている。全国のパルコのWebサイトに出店する各ショップが自ら情報を発信する「ショップブログ」の導入を皮切りに、同ブログに商品購入機能を付与、店頭での取り置き注文もできる「カエルパルコ」の展開や、2015年にはスマホアプリ「POCKET PARCO(ポケットパルコ)」を全店舗でリリースした。
「リアル店頭の顧客接点では、これまで“個”客(顧客一人ひとり)をデジタルで捉えられませんでした。しかし、IoTの普及によって、店頭でも“個客理解”のためのデータが取得できる環境が整ってきました。我々は、オフラインでもデジタルデータを獲得していけるよう、プラットフォームを発展させる必要があります」(林氏)
IoTによる変革、データ分析は「ECの専売特許」ではなくなった
林氏はデジタル化以前と以後の違いについて、「IoTでリアルのチャネルでも顧客の行動要因のデータ取得が可能になった」点を挙げる。さまざまなデータ分析を駆使して、顧客のWeb閲覧の行動を把握し、改善や各施策に活用するのはオンライン事業者の専売特許だった。しかし、オフラインチャネルであっても「ショッピングセンターのどの入口からお客様が入店され」「どのフロアを回遊し」「どのショップに立ち寄って買い物した(しなかった)」のか、可視化できるようになってきたというのだ。
こうしたデジタル化の象徴的な取り組みが、カメラを使った来店客の分析である。店舗内に設置したカメラで撮影した来店客の画像をAI(人工知能)で解析し、性別や、およその年代層を推定しデータ化する。同社ではこうした取り組みを上野の「PARCO_ya(パルコヤ)」の開業とともに実施している。
「個別のショップにお客様が何人来店し、そのうち何人が買い物して、売上はどうだったか。お客様の属性や動向、売上や買上率の推移をダッシュボードで可視化できるようなショップ向けのサービスとして展開しています。もちろんダッシュボードには統計データとして数値化されますので画像自体は見ることはできません。」(林氏)
収集されたデータは、ショップの人員配置の最適化に活用されるほか、商品のディスプレイを最適化し、店舗の購入率を高めるVMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)にも活用が可能だ。今後はカメラの精度実証を行い「来店客が何回目の来店か、どの店舗を回遊したかを把握するリピート分析を実現したい」と林氏は説明する。
・ECは「計画購買」、実店舗に求められる役割は「偶然の(すてきな)出会い」
・「テナントの売上は『接客』の総和」 パルコのオムニチャネルは「接客」
・なぜAIやVRに大きな期待を寄せるのか?
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