- 2021/08/04 掲載
米雇用の伸び、7月に鈍化した可能性 コロナ感染者急増で
雇用データを手掛けるUKGによると、6月半ばから7月半ばまでの期間に幅広い業種で雇用者数が1.1%増加したが、伸び率は5─6月の2%からほぼ半減した。労働省が発表する雇用統計では、6月の非農業部門雇用者数は85万人の大幅増となった。
勤務時間管理ソフトを手掛けるホームベースがまとめた中小企業の雇用者数も6月半ばから7月半ばまでの期間に減少した。
とりわけ、26州が週300ドルの失業給付の特別加算の打ち切りを開始した期間をUKGが分析した結果、これらの州の5━7月の勤務シフトの伸び率は2.2%と、特別加算を継続した州の4.1%の約半分にとどまった。
特別加算を打ち切ったのは大半が共和党が知事を務める州で、人々の労働市場復帰を促す狙いがあったが、所期の効果は発揮されなかったようだ。
UKGのバイスプレジデント、デーブ・ギルバーストン氏は「人々は各自の判断で仕事に復帰している。企業が望むような職場復帰者の急増はみられていない」と指摘。7月の雇用者の伸びは6月から鈍化すると予想した。
労働省は6日に7月の雇用統計を発表する。米国の国内総生産(GDP)は既にコロナ前の水準に戻ったが、雇用者数は2020年序盤の水準を約700万人下回っており、米経済の先行きを占う上で雇用情勢が注目点となっている。
ロイターのエコノミスト調査では、7月の非農業部門雇用者数は88万人増加(予想中央値)と、堅調な伸びが続いたとみられている。
ギルバーストン氏は、今秋については、学校が再開し、日常生活の正常化が進むとの前提を置けば、雇用者数の力強い伸びが依然期待できると説明。ただ、感染力が強いデルタ型変異株を中心とするコロナの感染再拡大が経済にどのような影響を与えるかはなお不透明だ。
失業者1人当たりに約1人の求人がある中、求人が埋まるペースが速まらない状況にエコノミストは当惑し、感染への恐怖や保育サービスの不足などを理由に挙げてきた。
失業給付の特別加算が労働市場復帰を阻害しているというとの見方については、最近の分析によって信ぴょう性が低下している。
マサチューセッツ大学アマースト校のアリンドラジット・デュベ教授は、国勢調査局による家計意識の週次調査に基づき、複数の州での失業給付の特別加算の打ち切りは雇用押し上げの効果は全くなく、むしろ「生活費を賄うのに苦慮しているとの報告の増加」につながったと指摘した。
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