- 2021/06/17 掲載
ローム、業界初(※)小型面実装パッケージの「BM2SC12xFP2-LBZ」を開発
ローム株式会社(本社:京都市)は、大電力を扱う汎用インバータやACサーボ、業務用エアコン、街灯などの産業機器に向けて、1700V耐圧SiC MOSFET(*1)内蔵AC/DCコンバータ(*2)IC「BM2SC12xFP2-LBZ」を開発しました。
新製品は、圧倒的な省電力性能を誇るSiC MOSFETと、産業機器の補機電源(*3)に最適化された制御回路を、業界で初めて小型面実装パッケージ(TO263)に1パッケージ化したICであり、省電力AC/DCコンバータの開発を容易にします。従来できなかった基板への自動実装を可能にするとともに、交流400V、48W出力までの補機電源に採用した場合、一般品採用の構成と比較して劇的な部品点数削減(12製品と放熱板を1製品に削減)を実現。部品故障リスクも低減したうえで、SiCMOSFETによる最大5%の電力高効率化を達成します。このため、工場での実装コストを大幅削減しながら、劇的な小型・高信頼・省電力ソリューションを提供可能です。
新製品は2021年5月よりサンプル出荷(サンプル価格1,500円/個:税抜)を行っており、2021年10月から当面月産10万個の体制で量産を開始する予定です。なお、新製品と評価ボード「BM2SC123FP2-EVK-001」のインターネット販売も開始しており、チップワンストップ、コアスタッフオンラインから購入することができます。
今後もロームは、SiCなど先進的なパワー半導体(*4)と、最先端のアナログ制御ICを開発するとともに、それらを最適化したソリューションを提供することで、産業機器の省電力化やシステム最適化に貢献していきます。
<背景>
近年、省エネ意識の高まりから、交流400Vを扱う産業機器において、高電圧対応、省電力化、小型化が可能なSiCパワー半導体の採用が進んでいます。一方、産業機器には、メインの電源回路に加えて各種制御システムに電源電圧を供給する補機電源が内蔵されていますが、設計工数の観点から、そこには耐圧の低いSi-MOSFETや損失の大きいIGBTが依然として広く採用されており、省電力化に大きな課題がありました。
ロームは、これらの課題に対し、2019年に高耐圧・低損失のSiC MOSFETを内蔵した、挿入パッケージのAC/DCコンバータICを開発するなど、業界に先駆けてSiCパワー半導体の性能を最大限に引き出すICを開発しています。
*1) SiC(Silicon Carbide、シリコンカーバイド)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)SiC は、Si(シリコン)と C(カーボン)の化合物。半導体の材料に使用した場合、Si 半導体の限界を超える特性を実現できるため期待されている。MOSFET は、半導体部品の基本であるトランジスタの一種(構造)。外部から電圧を印加することでデバイスの ON/OFF、または電流の流れを制御することができるスイッチングデバイスの役割を果たす。
*2) AC/DC コンバータ電源の一種で交流(AC)から直流(DC)へ電圧を変換する。一般的にコンセントには交流が流れており、電子機器は直流で動くため、コンセントにつなぐ電子機器には必要な部品。
*3) 補機電源大電力の産業機器には、モーターなど(主機)の動作を実現するメイン電源回路と、制御用 IC やインジケータの LED 点灯など(補機)に供給するためのサブ電源回路がある。このサブ電源回路を補機電源と表現している。
*4) パワー半導体用途に応じた電圧や電流に変換するために用いられる半導体で、その性能がシステムや機器の電力効率に直結する。高耐圧・大電流を扱うことが求められる。
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