- 2021/05/21 掲載
半導体企業、業績好調=デジタル化追い風、供給不足も―決算
半導体関連企業の業績が好調だ。世界的なデジタル化に伴って需要が拡大し、20日までに出そろった決算では最高益が相次いだ。一方、生産が追い付かず、内外の自動車メーカーでは調達に支障が生じて減産を強いられている。米国と中国の覇権争いも絡んで先行き不透明感も漂う。
半導体製造装置大手、東京エレクトロンの2021年3月期連結営業利益は前期比35.1%増の3206億円と過去最高を記録。河合利樹社長は「全てのアプリケーション(用途)で投資水準が一段と高まってきた」と指摘。22年3月期も最高益となる見込みだ。
車向け半導体大手ルネサスエレクトロニクスの20年12月期連結営業利益は前期比10.4倍の651億円で、直近の21年1~3月期は同時期として最高益となった。米中の景気回復で自動車生産が急速に盛り返しており、「作ったそばから消費される」(柴田英利社長)状況という。
新型コロナウイルス感染拡大に伴ってテレワークなどが普及し、データセンターや高速大容量規格「5G」向け需要が伸びる半面、車には必要な量が行き渡らない。自動車メーカーからは「慢性的に取り合いになる状況は続くのではないか」(鈴木俊宏スズキ社長)と嘆く声が上がる。
一方、米中摩擦が一部企業の業績に影を落としている。画像センサーなどを生産するソニーグループでは中国・華為技術(ファーウェイ)向けの出荷停止などで、21年3月期の半導体分野は営業減益となった。両国の対立は根深く、波乱要因となりそうだ。
世界の半導体市場について、英調査会社オムディアの南川明シニアディレクターは「脱炭素化の動きも需要拡大を促す」と指摘。脱炭素につながるとされる車の電動化や住宅・オフィスの高機能化で今年後半にさらに伸びると分析する。
【時事通信社】
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