- 2021/02/24 掲載
NY市場サマリー(23日)ドル小幅高、S&Pとダウ上昇
<為替> ドルが小幅高。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はこの日の議会証言で、緩和的な金融政策がインフレ高進を招くとの見方を否定し、米景気支援の継続がなお必要と強調した。
パウエル議長は上院銀行委員会で開かれた経済状況に関する公聴会で、米景気回復は依然として「まばらで完全とは程遠い」状態にあり、FRBが完全雇用の復帰に向け導入した政策の変更を検討するまでには「しばらく時間がかかる」という認識を示した。
パウエル議長の発言はインフレ懸念を払拭にするに至らなかったものの、FRBの支援継続がドルの支えになるとの見方が台頭。アクション・エコノミクスのグローバル通貨分析部門マネジングディレクター、ロナルド・シンプソン氏は「ドルの今後の方向性は不明だが、景気回復ペース加速への期待がインフレによる懸念を和らげている」と述べた。
終盤の取引でドル指数は0.11%高の90.141。
ポンド/ドルは一時、約3年ぶり高値となる1.411ドルを付けた。新型コロナウイルスワクチン接種の迅速な展開を追い風に、英経済活動が今後数カ月で再開すると予想されている。
ユーロ/ドルは0.07%安の1.215ドル。
ドル/円は0.2%高の105.27円。
<債券> 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が議会証言で米経済はなお支援が必要との考えを示したことを受け、10年債利回りが低下した。
午後の取引で10年債利回りは1.4ベーシスポイント(bp)低下の1.3551%。パウエル議長の証言前は1.389%まで上昇していた。
パウエル氏は上院銀行委員会の公聴会で、米景気回復は依然として「まばらで完全とは程遠い」状態にあり、FRBが完全雇用の復帰に向け導入した政策の変更を検討するまでには「しばらく時間がかかる」との認識を表明。FRBの政策支援がインフレ高進や危険な資産バブルを招くとは考えにくいとし、景気支援の継続がなお必要と強調した。
マクロポリシー・パースペクティブズのプレジデント、ジュリア・コロナド氏は「パウエル氏は均衡が取れた方法で『われわれの仕事は完遂から程遠い。当面は国債買い入れを継続する』とのメッセージを伝えた」とし、「議長の基本スタンスに変化はなく、債券市場はある程度の安心感を得られた」と述べた。
消費者物価が上昇するとの観測の中、長期債を中心に利回りが大きく上昇しており、パウエル氏の証言の直前、30年債利回りは2.34%と、2020年1月以来の高水準を付けていた。長期インフレ期待を反映し、午後の取引でも1.3bp上昇の2.1927%にとどまっている。
財務省が実施した600億ドルの2年債入札は、最高落札利回りが0.119%と過去最低。応札倍率は平均の2.57倍に対し2.44倍。BMOキャピタル・マーケッツの金利ストラテジスト、ベン・ジェフリー氏は、特に波乱もなくこなされたとしている。
2年債利回りはほぼ横ばいの0.1169%。2年債と10年債の利回り格差は124bpと、前日から約1bp縮小した。
<株式> 終盤に切り返し、S&P総合500種とダウ工業株30種が上昇して取引を終えた。新型コロナウイルス流行に伴うロックダウン下で上昇してきた銘柄と、経済再開から恩恵を受ける銘柄の間で綱引きが続く展開だった。
ナスダック総合は下落。ワクチンの接種が進み経済再開が可能となる中、投資家はこうした状況から恩恵を受ける銘柄を選好。これまでの規制下で買われてきた大型グロース(成長)株が市場の重しとなった。
ブライト・トレーディングのトレーダー、デニス・ディック氏は「下落局面では買いが入っている。こうした動きは一方向に傾いた市場で数カ月にわたり報われてきた」と指摘。「弱気になるのは難しい。唯一ある懸念は機会を逃すというものだ」と語った。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は23日、上院銀行委員会で開かれた経済状況に関する公聴会で、FRBの政策支援がインフレ高進や危険な資産バブルを招くとは考えにくいとし、景気支援の継続がなお必要と強調した。
国内の景気回復は依然として「まばらで完全とは程遠い」と指摘。現在確認されている市場の動きについては、新型コロナワクチンが奏功するとの期待や消費支出拡大見通しなど、景気回復への期待を反映しているとの認識を示した。
インディペンデント・アドバイザー・アライアンスのクリス・ザッカレリ最高投資責任者(CIO)は「パウエル議長の発言はおそらく、現金を保有し様子見姿勢を取っていた人に、再び資金を投資に回すことへの自信を与えたとみられる」と語った。
S&Pの主要11セクターでは7セクターが上昇。一般消費財と情報技術は下げがきつかった。
電気自動車大手テスラは2.2%下落し、年初来でマイナス圏に転落。テクノロジー株の下落や、テスラが最近15億ドル投資した仮想通貨(暗号資産)ビットコインが12.0%下落したことが重しとなった。
ブロックチェーン関連株のライオット・ブロックチェーンとマラソン・パテント・グループはそれぞれ24.6%、23.0%下落。シルバーゲート・キャピタルは20.1%安。
ホームセンター大手のホーム・デポは四半期決算が市場予想を上回ったものの、株価は3.1%値下がりし、ダウを圧迫。新型コロナ流行で自宅で過ごす時間が増えたことによる需要増加が持続可能かどうかについて不透明が高まった。
24日に決算を発表する同業のロウズも下落した。
ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.59対1の比率で上回った。ナスダックでは2.58対1で値下がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は165億2000万株。直近20営業日の平均は160億6000万株。
<金先物> 利益確定の売りに押され、4日ぶりに反落した。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比2.50ドル(0.14%)安の1オンス=1805.90ドル。
金塊相場は前日に約1週間ぶりに1800ドルの水準を回復。3日続伸していたこともあり、テクニカル要因から利益確定の売りが先行した。外国為替市場でのドル相場上昇も金の下押し材料。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はこの日の議会証言で、米景気回復の状況について「FRBの目標到達には程遠い」などと述べ、金融緩和の維持を改めて明言した。ただ、目新しい内容ではなかったこともあり、相場の反応は限られた。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 利益確定の売りが先行したものの根強い供給懸念から買い戻され、ほぼ横ばいとなった。この日から中心限月に繰り上がった米国産標準油種WTI4月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.03ドル(0.05%)安の1バレル=61.67ドル。5月物は0.03ドル高の61.43ドルだった。
相場は朝方に利益確定の売りに押され、一時60.67ドルまで下落。売り一巡後は値頃感などから売り買いが交錯し、前日清算値水準を挟んで浮動する展開となった。寒波の影響で閉鎖していた米南部の石油供給網の復旧遅延をめぐる根強い警戒感が相場の下支え材料となった。テキサス州の石油生産施設では徐々に操業を再開し、ヒューストン港の取扱量も正常化に向かっていると伝わっている。ロイター通信によると、先週の寒波により、米国内の製油能力の約20%に当たる日量200万バレルの生産に影響が出ていた。
市場の次の手掛かり材料は、米石油協会(API)、米エネルギー情報局(EIA)が23日夕、24日午前に発表する在庫週報。市場予想(ロイター通信拡大版調=23日午後公表)では、19日までの1週間の原油在庫は前週比520万バレル減と、5週連続の取り崩しとなったもよう。ガソリン、ディスティレート(留出油)の在庫はそれぞれ310万バレル減、370万バレル減と見込まれている。
ドル/円 NY終値 105.24/105.25
始値 105.24
高値 105.42
安値 105.07
ユーロ/ドル NY終値 1.2149/1.2150
始値 1.2153
高値 1.2166
安値 1.2136
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 93*11.00 2.1786%
前営業日終値 93*10.00 2.1800%
10年債(指標銘柄) 17時04分 97*31.00 1.3432%
前営業日終値 97*23.50 1.3690%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*01.75 0.5696%
前営業日終値 98*29.50 0.5970%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*00.88 0.1109%
前営業日終値 100*00.63 0.1150%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 31537.35 +15.66 +0.05
前営業日終値 31521.69
ナスダック総合 13465.20 -67.85 -0.50
前営業日終値 13533.05
S&P総合500種 3881.37 +4.87 +0.13
前営業日終値 3876.50
COMEX金 4月限 1805.9 ‐2.5
前営業日終値 1808.4
COMEX銀 3月限 2768.8 ‐39.7
前営業日終値 2808.5
北海ブレント 4月限 65.37 +0.13
前営業日終値 65.24
米WTI先物 4月限 61.67 ‐0.03
前営業日終値 61.70
CRB商品指数 192.4987 ‐0.1240
前営業日終値 192.6227
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