- 2021/02/18 掲載
日銀、市場急変時のETF積極買い入れを明確化へ=関係筋
日銀は3月の金融政策決定会合で政策点検の結果を公表する予定。複数の関係者によると、日銀内ではETFの買い入れ上限やめどを撤廃する案も浮上している。
新型コロナウイルスの感染拡大で株安が進展したことを受け、日銀は昨年3月にETFの購入積極化を打ち出した。コロナ対策として年12兆円を上限に買い入れるとする一方、原則的な残高増加ペースは年6兆円という2つの目標を掲げてきた。しかし、日銀の実際の購入額は市場が不安定化した昨年3月、4月には年12兆円を上回るペースとなったものの、株価が堅調に推移する局面では買い入れ額が減り、年12兆円目標からかい離。今年2月は日経平均株価が3万円を回復する中、18日までに通常のETFは買っておらず、設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業のETFを合計156億円購入するにとどまっている。
日銀では、購入目標を掲げ続け、実際の購入額とのかい離が広がれば市場に「日銀の緩和姿勢が後退した」との誤ったメッセージを送ることになるのではないかとの見方が出ている。目標を撤廃する代わりに、市場急変時には機動的に買い入れを増やすとともに、実際に大量の買い入れを行えば、市場の誤解は払しょくできるとする。
ただ、政策点検は年度末が迫る中で結果を公表する予定となっていることから、上限撤廃によって市場のボラティリティが拡大することへの懸念も根強い。日々の市場調節の指針として買い入れ目標がなお必要との声も出ており、目標を残すのか撤廃するのか、日銀内で結論には至っていない。
(和田崇彦、木原麗花)
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