- 2021/02/16 掲載
欧州市場サマリー(15日)
ポンドが約3年ぶりに1.39ドルを回復。英国でのワクチン接種の成功により経済が再開し回復に向かうとの期待が支援した。
オフショア人民元は上昇が継続。2018年6月以来となる6.39元突破に迫っている。
コモディティー通貨も堅調。南アランドが1年ぶりの高値を付けたほか、ノルウェークローネと豪ドルも対米ドルで3週間ぶりの高値に達した。
15日はアジア市場の大半が旧正月で休場となっているほか、米国市場もプレジデンツデーのため休場となっている。
ドル指数は0.1%安となり、先週付けた1月27日以来の低水準である90.249に接近した。
MUFGのアナリストは市場の楽観が続けばドルは一段安の可能性が高いと指摘。市場関係者は年内の世界経済を想定以上に押し上げようとする当局者の意向を過小評価しているため、リフレトレードは引き続き有効との見方を示した。
安全通貨である日本円は対ドルで0.4%安の105.27円。
ユーロは0.1%高の1.21310ドル。先週は0.6%上昇していた。
暗号資産(仮想通貨)のビットコインは引き続き値動きが荒く、一時4万9714.66ドルと最高値を付けたが、その後は4万5914.75ドルまで下落した。
<ロンドン株式市場> 上昇して取引を終えた。コモディティー価格の上昇を背景に鉱業株がエネルギー株が買われた。投資家は世界的な新型コロナウイルスワクチンの展開により、今年の景気回復が早まると期待している。
コモディティー価格に左右されやすいFTSE100種は2.5%上昇。上昇率は約1カ月で最大となった。資源大手アングロ・アメリカンやリオ・ティント、BHPグループ、BP、ロイヤル・ダッチ・シェルが指数を押し上げた。
AJベルの投資ディレクター、ラス・モールド氏は、英政府が最も感染リスクが高い人々に迅速にワクチン接種を実施したことがおそらく市場のプラス材料になっていると指摘。「制限措置の緩和ペースを巡って激しい議論が引き続き繰り広げられているとしても、投資家にとっては経済再開に目を向けやすくなっている」と述べた。
英国のジョンソン首相は15日、国内で新型コロナワクチンの接種が進む中、ロックダウン(都市封鎖)の解除行程について週内に慎重に判断を下すと述べた。
中型株で構成するFTSE250種指数は1.8%上昇し、11カ月ぶりの高値を付けた。FTSE350種旅行・娯楽関連株指数が4.3%高となった。
住宅建設株指数は2.1%高。英不動産サイト、ライトムーブが15日発表した1月から2月上旬までの住宅売却希望価格は前月比で予想外に上昇した。
<欧州株式市場> 約1年ぶりの高値水準で取引を終えた。迅速な経済回復への期待から資源株が買われたほか、傘下の音楽出版会社ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)の株式分配を発表した仏メディア大手ビベンディが上昇をけん引した。
STOXX欧州600種が1.3%上昇し、2020年2月下旬以来の高値となった。銅価格が8年超ぶりの高値を付け、リオ・ティント、BHPグループ、アングロ・アメリカンなどが指数を押し上げた。
銀行株やエネルギー株も上昇。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた2020年初の急落後に市場全体をアンダーパフォームしていたセクターへの買いが強まった。
ビベンディは19.6%上昇。13日、傘下のUMG株式について、60%をビベンディ株主に分配する方針を明らかにした。また年内にUMGの上場を目指すとしている。
ビベンディの株式27%を保有するボロール・グループは14.6%上昇した。
バイデン米大統領が12日、1兆9000億ドル規模の新型コロナ救済法案の実現に向け州知事や市長との会合を開き、数百万人の失業者への支援や学校再開に一段の協力が必要と訴えたことを受け、米刺激策への期待感が高まった。
一方、欧州連合(EU)統計局が15日発表した昨年12月のユーロ圏鉱工業生産は予想を上回る落ち込みとなった。資本財と非耐久消費財の生産が減少した。
ただ、INGのアナリストは「製造業の新規受注は急速に伸び続けているほか、ユーロ圏以外の地域も回復が続いており、輸出と生産の面で第1・四半期の好スタートが見込まれている」と指摘。「短期的な見通しは低迷しているが、製造業は明るい兆しをみせている」と述べた。
中国や香港、米国が祝日で休場のため、欧州株式市場の商いも乏しかった。
<ユーロ圏債券> 大半の域内債券利回りが急上昇し、数カ月ぶりの高水準を付けた。世界経済に対する明るい見通しや新型コロナウイルスワクチンの展開を巡る楽観的な見方が広がる中でリフレ期待が支援した。
マリオ・ドラギ前欧州中央銀行(ECB)総裁が13日、イタリアの首相に就任したことも同国を巡るリスクが低下したとの見方につながった。
また、原油価格が約1年1カ月ぶりの高値に上昇し、インフレ期待を高めた。
DZバンクの金利ストラテジスト、ダニエル・レンツ氏は「米国でリフレ傾向があり、欧州にも影響を与えている」と指摘。「欧州ではインフレ率が高まるかどうかについても議論されている。新型コロナの新規感染者数が減少し、制限措置が間もなく解除され、経済が好転するとの期待がある」と述べた。
ドイツ、フランス、オランダの10年債利回りはいずれも昨年9月以来の高水準に上昇。ベルギー10年債利回りはマイナス0.08%と昨年7月以来の高水準となった。
ドイツ10年債利回りは5ベーシスポイント(bp)上昇のマイナス0.376%と5カ月半ぶりの高水準。30年債利回りは0.13%と8カ月ぶりの高水準を付けた。30年債利回りは月初にマイナス圏で推移していたが、今月に入り20bp上昇している。
英債利回りは昨年3月以来の高水準に上昇。スイス30年債利回りは今月に入り22bp上昇しマイナス0.013%とプラス圏浮上に迫っている。
アイルランド10年債利回りも20年末のマイナス0.28%から足元ではマイナス0.05%とプラス圏浮上が間近となっている。
コメルツバンクの金利ストラテジスト、ライナー・グンターマン氏は「独債利回りは直近の上昇を受けて目先一服する可能性はあるが、リフレ期待は依然健在だ」と述べた。
イタリア債券利回りも上昇。10年債利回りは4bp上昇の0.53%となった。
スペインでは、カタルーニャ州で14日、州議会選挙(定数135)の投開票が行われ、独立派が議席を上積みして過半数を維持する見通しとなった。ただ、国政与党・社会労働党の州支部も議席を大幅に増やしたことから、独立運動の再燃より中央政府との対話につながる可能性が高いという。
<為替> 欧州終盤 アジア市場終盤 コード
ユーロ/ドル 1.2135 1.2131
ドル/円 105.33 105.17
ユーロ/円 127.84 127.59
<株式指数> 終値 前日比 % 前営業日終値 コード
STOXX欧州600種 419.47 +5.47 +1.32 414.00
FTSEユーロファースト300種 1615.64 +21.31 +1.34 1594.33
ユーロSTOXX50種 3734.20 +38.59 +1.04 3695.61
FTSE100種 6756.11 +166.32 +2.52 6589.79
クセトラDAX 14109.48 +59.59 +0.42 14049.89
CAC40種 5786.25 +82.58 +1.45 5703.67
<金現物> 午後 コード
値決め 1816.35
<金利・債券>
米東部時間13時29分
*先物 清算値 前日比 前営業日終盤 コード
3カ月物ユーロ 100.55 0.00 100.55
独連邦債2年物 112.23 -0.03 112.26
独連邦債5年物 134.72 -0.22 134.94
独連邦債10年物 175.23 -0.74 175.97
独連邦債30年物 212.80 -2.14 214.94
*現物利回り 現在値 前日比 前営業日終盤 コード
独連邦債2年物 -0.690 +0.013 -0.708
独連邦債5年物 -0.649 +0.038 -0.686
独連邦債10年物 -0.382 +0.049 -0.430
独連邦債30年物 0.122 +0.047 0.075
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