- 2021/02/15 掲載
日経平均3万円:4万円到達に必要な日本企業の捲土重来=アセマネOne 小出氏
小出氏は1983年に日本興業銀行に入行し、調査部、総合資金部、総合企画部などを経て、2000年に興銀・第一ライフ・アセットマネジメントのチーフ・エコノミストに就任。その後の合併に伴い現職に至る。
──現在の株価をどう見るか。
「現在の株価は、EPS(一株利益)と金利で説明できる水準からの上振れは限られており、30年前の割高感からは程遠い。キャッシュが有り余っているからバリュエーションを度外視して買っている、という状況ではない。また、日本企業もここまであまりリスクを取らず、リストラに偏っていた、という批判はあるものの、反面で頑健なバランスシートを持っていると評価できる。今の株高は、それが評価されている面もあろう。また、物価が上がらず、デフレで企業収益が伸びない、という世界ではなくなってきている」
──今後の展望は。
「GDP(国内総生産)の9%に当たる規模の『米国救済計画』を打ち出そうとしている米国を始め、先進国では、実質的にMMT(現代貨幣理論)的な政策に向かいつつある。もはや、中央銀行の独立性は事実上低下し、インフレをコントロールをするのは、金融政策ではなく、財政政策の役目になりつつあるのかもしれない。この政策が、最終的に持続可能との保証はないが、こうした状況下で、名目ベースでの株価がさらに上昇する絵も描けなくはない」
──今後の鍵は。
「MMT的なリフレ政策だけで次は4万円を目指す、となるかと問われれば疑問だ。現在の相場は、基本的に世界の株価に連れ高したものだ。コロナ禍からの景気持ち直しで、グローバルな景気敏感株として見直された、という範囲に留まり、一層の上値を追うには力不足だ」
「かつて環境技術先進国だった日本は、この20年間で追いつくことを目指す側の立場になりつつある。単なる従来の延長線上ではなく、この先、ポストコロナの時代に、ESG(環境・社会・企業統治)やSDGs(持続可能な開発目標)の枠組みに沿いつつ、何か日本がリードできる核が生まれないと4万円を目指すのは厳しいのではないか」
「希望を1つ挙げれば、きょうのGDP統計での設備投資は予想以上に強かった。もし、ポストコロナを見据えて日本企業が資本設備や雇用に積極的に投資し、日本企業の捲土(けんど)重来が見えてくれば、その芽は出てくるかもしれない」
(聞き手:佐野日出之)
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