- 2020/10/29 掲載
米高裁が販売阻止したジカンバ系除草剤、EPAが使用を許可
ジカンバ系除草剤は独バイエル<BAYGn.DE>などが販売する。同社は2018年の米モンサント買収以降、複数の化学成分を巡り米国で訴訟が相次いでおり、EPAの決定は追い風となる。
一方、大統領選を1週間後に控え、規制よりも企業の利益を優先する決定だとトランプ政権を批判する声も上がっている。
EPAはジカンバをベースとしたバイエルの除草剤について、5年間の使用を再承認した。遺伝子組み換えでジカンバに対する耐性を備えた大豆や綿花に散布されているが、飛散して、耐性のない他の作物に被害をもたらすとされている。
EPAは、飛散の問題に対処する新たな制限を導入するとしている。
EPAは独BASF<BASFn.DE>のジカンバ系除草剤も再承認し、スイスのシンジェンタの製品についても承認を延長した。
環境保護団体は、周囲の作物や野生生物に害をもたらすとしてジカンバ系除草剤の禁止を求めている。
連邦高裁は6月、ジカンバ使用に絡むリスクをEPAは大幅に過小評価しているとして、米国内での販売を認めない判断を下していた。[nL4N2DH1SD]
専門家は今回のEPAの決定について、高裁の判断を無効にするものだとの見方を示した。
食品安全センター(CFS)の法務責任者ジョージ・キンブレル氏は「EPAは高裁に指摘された通りにジカンバ飛散による大きな被害を検証するどころか、選挙直前に政治的な思惑から再承認を急いだ」と批判した。
バイエルや農業団体はEPAの決定を歓迎する立場を示した。
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