- 2020/10/13 掲載
企業物価指数9月は前年比0.8%減、4―6月の原油安が重しに
ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値は前年比マイナス0.5%で、予想以上の下落率となった。4―6月期の原油やLNGの価格下落が、タイムラグを伴ってCGPIの下押しにつながった。
類別では、電力・都市ガス・水道が前年同月比マイナス4.6%。電力の値決めに当たっては、4―6月の市況動向が参照されるという。指数への寄与度が高い項目では、このほか、農林水産物がマイナス2.0%となった。
前月比ではマイナス0.2%と、4カ月ぶりに下落した。みずほ証券のシニアマーケットエコノミスト、末広徹氏は「原油価格上昇を背景としたコスト・プッシュ型の物価上昇が一巡した」と指摘。新型コロナウイスルの感染拡大以降、需給ギャップはマイナスの状態が続いておりディマンド・プル型による物価上昇は期待しにくいとし、「企業物価並びにその先にある消費者物価も低迷した状況が続きそうだ」と話す。
消費税を除くベースの総平均は前年同月比マイナス2.3%で、8月確報の同マイナス2.2%から下落率が拡大。類別では電力・都市ガス・水道(同マイナス6.3%)、農林水産物(同マイナス2.1%)、金属製品(同マイナス0.1%)、生産用機器(マイナス0.8%)だった。
消費増税の影響を除くと、公表744品目のうち、前年比で上昇したのは258品目、下落したのは376品目となり、上昇が下落を118品目下回った。
日銀の担当者は「銅、アルミ、ニッケルなどの非鉄金属は中国の需要増により価格が上昇したが、前月までと比べると緩やかな上昇にとどまった」と指摘。その上で「世界的に新型コロナの影響が残る中で、経済活動の改善ペースは緩やかものにとどまり、企業物価全体への重しになり続けている」と述べた。
(杉山健太郎 編集:田中志保)
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