- 2020/07/06 掲載
ソフトバンクGの統治改革、ビジョンファンドは対象外に=関係筋
ソフトバンクGはここ数カ月で2兆5000億円規模の自社株買いを打ち出し、社外取締役を増やすなど、エリオットによる要求をビジョン・ファンド以外で満たしてきた。
ビジョン・ファンドは米シェアオフィス大手のウィー・ワークなどの新興企業への投資で運用成績が悪化。この結果、ソフトバンクは2020年3月期に過去最大の赤字に陥った。しかし、同ファンドの経営陣の構造はほとんど変わっていない。
関係筋がこれまで明らかにしたところによると、エリオットはソフトバンクGに対し、取締役会の中に委員会を設け、ビジョン・ファンドの投資プロセスを監視し、支えるよう求めていた。
事情に詳しい関係者の1人によると、ソフトバンク側は委員会の設置を拒否。幹部らは 投資案件は既に経営首脳が吟味しており、30億─50億ドルの案件は大口出資者のリミテッド・パートナー(LP)の精査を受けていると主張しているという。
ソフトバンクGはコメントを控えた。エリオットはコメントの求めに応じていない。
ビジョン・ファンドの運用成績の不振を受け、ビジョン・ファンド2号の資金集めは難航、第1号の大口出資者であるサウジアラビアの政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)とアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ政府系ファンド、ムバダラからの資金集め計画も頓挫している。
PIFとムバダラからコメントは得られていない。
ビジョン・ファンドの運営責任者はラジーブ・ミスラ氏で、同氏の昨年の報酬は2倍に増えた。ソフトバンクGの孫正義会長兼社長も同ファンドの経営陣に名を連ねている。
関係筋の1人によると、インド出身のミスラ氏は同ファンドの「顔」となっており、成績不振にもかかわらず、運営責任者としての地位は盤石だという。
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