- 2025/04/10 掲載
翻弄も、続く対応模索=米相互関税の一時停止で―日本企業
トランプ米大統領が、一度発動した相互関税を90日間停止すると表明した。前代未聞の高関税にパニック状態になっていた日本企業は再び虚を突かれた形となり、「流動的な状況に振り回されている」(精密大手)と困惑を隠さない。事態の好転が見えたわけでもなく、各社は影響を精査するほか、生産体制や供給網を見直すなど、翻弄(ほんろう)されながらも対応を模索し続けている。
「一息つけたが、のんびり安心しているわけにはいかない」。旭化成の工藤幸四郎社長は10日の経営計画説明会でこう述べ、厳しい表情を見せた。24%の関税が課された場合、営業利益で180億円程度の影響が出るとはじく。今回の一時停止で税率は10%にとどまるが、再び上昇する可能性は消えていない。
トランプ政権の朝令暮改ぶりに、「何が起きてもおかしくないという思いを新たにした」(自動車大手)と、多くが警戒感を強めている。「先行き不透明な状況は続く」(住宅メーカー)と、一時停止を手放しで歓迎する企業はいない。
ただ、打開策を見つけるのは容易ではない。米国で生産すれば関税はかからないが、「米国での販売量や生産コスト、資材調達費が見合うか分からない」(建機大手)、「部品などの調達網を構築しなくてはならず、短期間では難しい」(自動車大手)として多くが二の足を踏む。
ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、「生産地はいくらでも変更できる」と対応に自信を示す一方、相互関税自体には「無理がある。続かない」と指摘。工藤社長は日本政府に対し、「対米投資をかなり行ってきた日本の立ち位置を理解してもらえるよう、米政府と交渉してほしい」と求めた。
【時事通信社】 〔写真説明〕記者会見する旭化成の工藤幸四郎社長=10日午前、東京都千代田区
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