- 2025/02/28 掲載
ECB、インフレ鈍化も利下げに慎重な対応必要=議事要旨
ECBは1月の理事会で、2024年6月以降で5回目となる利下げを決めた。インフレが鈍化しつつあり、経済成長を抑制する必要がないとして、一段の金融緩和の可能性を示唆した。
長引く経済の低迷と賃金の伸びの急減速はどちらも物価上昇圧力を弱める可能性が高い。一方、エネルギーコストの上昇、ユーロ安、米国との貿易戦争への懸念はいずれも消費者物価を押し上げる可能性がある。
関係筋は1月の理事会後ロイターに、3月会合でさらなる利下げが決定される可能性が高いが、4月以降については議論が激しくなる見通しだと語った。
議事要旨は「理事らはインフレ鈍化の軌道にあることで一致した」とした上で、「24年12月以降、リスクの上振れを示すいくつかの根拠もあった」と記した。
政策金利が、景気を加熱も冷やしもしない中立金利の水準に近づいているため、一段の利下げの規模とペースに関して「より慎重な対応」との主張もあったと言及した。
市場では、3月6日の理事会で預金金利が25ベーシスポイント(bp)引き下げられ、年内にさらに2回の利下げを経て、25年末までに2%になると予想されている。
ECBは追加利下げを明確には示さなかったが、現在の金利は依然として成長を抑制しており、インフレが抑制されれば、より中立的な金利への移行は可能だと述べた。
議事要旨でECBは「インフレ鈍化の軌道にある限り、経済への不必要な抑制を避けるため政策金利を中立水準にさらに近づけることができるだろう」との見解を示した。
ECB内の意見の相違は1月に出始めており、タカ派のECBのシュナーベル専務理事は「インフレが目標を上回るリスクの方がより大きい」ことを示す調査結果を強調。一方、ハト派とされるチーフエコノミストのレーン理事は「大企業のインフレ予想値は2%に近づいている」と指摘した。
議事要旨で他の理事は、ECBの予想よりも経済が悪化し続けた場合、インフレ率が目標を下回る可能性を示唆した。
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