- 2025/02/21 掲載
中国企業、オフショア資金調達が加速 ディープシーク効果で
[香港/シドニー 21日 ロイター] - ハイテク分野を中心に中国企業によるオフショア市場での資金調達が加速している。銀行関係者によると、中国政府による民間企業支援への期待や、新興人工知能(AI)企業ディープシークの人気を受けた投資家心理の回復が背景にある。
中国の動画配信サイト「愛奇芸(iQIYI)20日、期間5年の転換社債を発行して3億5000 万ドルを調達した。前日には香港上場の自動車用半導体メーカー、黒芝麻が私募により1億6000万ドルを調達している。
この数日前、習近平国家主席は電子商取引大手アリババの共同創業者である馬雲(ジャック・マー)氏らビジネス界のリーダーを招いた座談会(シンポジウム)を主宰した。
法律事務所デービス・ポークのパートナー、Li He氏は、習氏の座談会やディープシークの急成長により、中国のハイテク企業が国際資本市場で勢いを取り戻す可能性があると述べた。テクノロジー、ヘルスケア、消費者セクターを中心に多くの企業がIPOの準備を進めているという。
中国企業のIPO、特に香港市場への上場が今後数年で加速すると予想されている。香港では1月に、前年同月の15件を上回る29件のIPO申請があった。
米調査会社のディールロジックによると、中国企業が関与するオフショア株式資本市場の取引総額は今年これまでに33億ドルに達し、前年同期の6倍を超えた。
UBSのアジア・グローバル・バンキング副会長のマンディ・チュー氏は「香港株の上昇を背景に今後数カ月は資本市場での資金調達活動が活発化し、2025年にはIPOが加速すると予想される」と述べた。
シティグループのアジア・テクノロジー・コミュニケーション部門責任者Ho-yin Lee氏は「中国のテック企業に対する世界の投資家の関心は高まっている。他の市場と比べて評価額は非常に魅力的だ」と語った。
しかし、米中の緊張の高まりや両国の民間投資に対する規制強化により、ドル建てベンチャーファンドがすぐに復活する可能性は低いとアナリストは予想している。
ガベカル・ドラゴノミクスは18日のリポートで、米国の機関投資家は中国資産への投資を避けるよう当局から公式・非公式に圧力を受けていると指摘。「注目される流動性イベントがいくつかあれば別だが、当面は方向性が変わることはないだろう」との見方を示した。
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