- 2025/02/21 掲載
インタビュー:3月利上げの可能性、年内に1%も 円安・物価高対応=白井元日銀委員
[東京 21日 ロイター] - 慶應義塾大学の白井さゆり教授(元日銀審議委員)は21日、ロイターとのインタビューで、円安・物価高に対応するため、日銀が3月の金融政策決定会合で政策金利を0.75%へ引き上げる可能性があるとの見方を示した。3月に実施した場合、年内に1%への追加利上げもあり得るという。
白井氏は、同日公表された1月の全国消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率が2年ぶりに4%台となったことなどを受け、日銀が「3月に利上げすると思う」と語った。本来、実体経済が弱い状況で利上げするのは難しいものの、円安が物価高騰をもたらし、人々の生活を圧迫していることを考えれば、円安修正の対応をしてもいいとの考えを示した。
また、「日銀内部には金融正常化をできるうちにしておきたいという気持ちがある」と指摘。為替が円高に振れ、インフレ率が2%を切ってきた場合は動くのが難しくなるため「必要な時に下げられるような余地を作りたいのではないか」と語った。
白井氏自身、トランプ米政権が一度延期したメキシコとカナダへの25%の関税を3月1日に実施するか注目しており、まずは日銀もその動向を見極めるだろうと述べた。
実際に関税をかけた場合、「トランプ氏の本気度が分かる」と指摘。中国、メキシコ、カナダに続いてEU(欧州連合)がターゲットとなり、世界全体のインフレ圧力となる可能性があることから「日銀が利上げの判断をするいい時期になるのではないか」と語った。
この先、政策金利は1%まで利上げできるとの見方も示した。当座預金の利払いを考えればそれほど引き上げられる余地はないものの、株価が大きく下がらず、急激に円高が進まなければ、日銀のバランスシートはプラスを維持できる可能性がある、という。3月に利上げに踏み切った場合、今秋に追加利上げがあってもおかしくはないとした。
日銀は1月の決定会合で政策金利を17年ぶりの水準となる0.5%程度に引き上げた。今後も経済・物価見通しが実現していけば、追加利上げする方針を示している。
日銀の1月会合以来、追加利上げ時期が早まるとの観測や、金利の最終到達点(ターミナルレート)が従来の想定より上振れるとの思惑が浮上し、日本の長期金利は上昇ペースを強めている。
植田和男総裁は21日の衆院予算委員会で、長期金利が急激に上昇するという「例外的な状況」になれば、機動的に国債買い入れ増額などを実施すると述べたが、白井氏は、今はどのように減らしていくかという局面であり「よほどのことがない限りしない。日銀がQE(量的緩和)するというのはあまり想定されていない」と指摘した。
日銀は昨年7月に国債買い入れの減額計画を決定。四半期ごとに4000億円ずつ減らしていき、26年1―3月に月間3兆円程度とするとしている。26年4月以降は今年6月に中間評価を行ったうえで検討するとしているが、白井氏は「今のペースで減額を続けるのではないか」と語った。
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