- 2025/02/06 掲載
フォード、今年はEV部門で最大55億ドルの赤字見通し
Nora Eckert Nathan Gomes
[デトロイト 5日 ロイター] - 米フォード・モーターは5日、今年の電気自動車(EV)・ソフトウエア部門が最大55億ドルの赤字を計上するとの見通しを示した。赤字額は昨年並みで、EV事業のコスト節減にかなり苦戦を強いられている様子がうかがえる。
今年全体の業績は黒字を確保する見込みだが、黒字額は昨年を下回るという。
フォードのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は昨年、EV生産計画を大幅に縮小し、ハイブリッド車に軸足を置きつつある。昨年の販売台数はEVが9万7865台だったのに対して、ハイブリッド車は18万7426台とほぼ2倍に達した。
一方フォードは、トランプ米政権がメキシコとカナダに輸入関税発動をちらつかせていることを巡る不透明感に直面している。関税実施は1カ月間停止されたものの、発動されれば、同社の原材料コストが押し上げられ、需要を冷え込ませる公算が大きい。
<関税の影響>
ファーリー氏はアナリスト向け電話会議で、いかなる関税政策も「業界全体をカバーするものでなければならない」と述べ、アジアの競合他社は「追加関税なしに」車両を米国に輸入できると指摘した。
一方、シェリー・ハウス最高財務責任者(CFO)は「メキシコとカナダに25%の関税が課せられればわれわれの業界に多大な影響を及ぼすのは間違いない。とはいえ、われわれはトランプ政権が米国の自動車産業を支援する意図を持っていると信じている」と語った。
フォードの昨年第4・四半期決算は、売上高が482億ドル、調整後1株利益が0.39ドル。それぞれLSEGがまとめたアナリスト予想の430億ドルと0.33ドルを上回った。
純損益は前年同期の5億ドルの赤字から18億ドルの黒字に転じた。
今年の利払い・税引き前利益(EBIT)は70億-85億ドルと想定されている。昨年は102億ドルだった。
フォードの次期最高財務責任者(CFO)のシェリー・ハウス氏によると、EV部門の赤字には将来のモデルへの多額の投資が含まれている。同社は14億ドルのコスト削減を進めながら販売台数を増やす計画という。
CFRAリサーチのアナリスト、ギャレット・ネルソン氏は「GMのようにバッテリーEVに注力している企業とは対照的にフォードは、マルチパワートレイン・アプローチを採用しているため、米政府によるEV税額控除廃止による影響が軽減されるはずだ」と述べた。
トランプ氏が1日にメキシコとカナダからの輸入品に追加関税を課す大統領令に署名して以降、フォードは米自動車大手の中で最初に決算を発表した企業。同社の年間業績見通しに関税の影響は反映されていないという。
メキシコへの関税は、同国で組み立てられているピックアップトラック「マーベリック」や手頃な価格の「ブロンコ・スポーツ」などに影響を与える見通し。
一方、自動車大手の中でフォードが最も関税の影響を受けにくいとアナリストは指摘する。GMとステランティスは、より収益性の高い自動車の国外生産がフォードより多いという。
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